1988 Fiscal Year Annual Research Report
音像定位フィードバックを用いた盲人用文字図形筆記補助装置
Project/Area Number |
63550290
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊東 一典 信州大学, 工学部, 助教授 (30043045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米沢 義道 信州大学, 工学部, 教授 (90020982)
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Keywords | 盲人用支援システム / 音像定位 / 音響フィードバック / 文字図形筆記補助 |
Research Abstract |
近年、糖尿病や交通事故などによる中途失明者が増加している。中途失明者が中高年齢者の場合には、点字を修得することが困難であることが多く、文字や図形を失明前のように筆記したいという希望を持っている。しかし、視覚のフィードバックがない場合には、福笑いのゲームに見られるように、紙面の書くべき場所に、正しい形で文字や図形を筆記することはかなり難しい。 そこで、音像定位を利用して、筆記する位置の情報を音像の位置で与える、音響フィードバックによる文字図形筆記補助装置の可能性について検討した。本年度は、基本システムを試作して、音響フィードバックによる文字筆記の可能性を主に検討した。以下その概要を述べる。 1.音像定位フィードバックとして、左右を両耳間レベル差、上下を周波数差とする16×16の音響スクリーンを有するシステムをパーソナルコンピュータ、デジタイザ、ファンクションシンセサイザ、電子部品などで構成した。手書きの文字、図形の入力装置であるデジタイザには、鉛筆、ボールペンなど種々の筆記具の使用を想定して、感圧式を採用した。 2.本システムの評価は主にアイマスクをした晴眼者を被験者として行った。評価項目は筆記開始点の認識制度、線分の表現精度などの基本的なものから、大きさの異なるマスへの1文字の筆記に始まり、横書きおよび縦書きの複数文字の筆記精度まで広範囲に渡った。文字は数字、平仮名、漢字などである。筆記した文字の評価は始点、交点、ストロークなどに注目して行っているが、市販の手書き文字入力装置を用いた認識率による評価も合わせて行った。 現在までに、音響フィードバックの有効性を確認している。しかし、小さいマスへの筆記が難しいこと、筆記開始点の探索に時間がかかることなど改良する点もあり、次年度の課題としたい。
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