1988 Fiscal Year Annual Research Report
集合の演算とそのロバスト制御系のCADへの応用に関する研究
Project/Area Number |
63550311
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 有三 神戸大学, 工学部, 助教授 (80111772)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 晋二 神戸大学, 工学部, 助手 (20183303)
羽根田 博正 神戸大学, 工学部, 教授 (10031113)
|
Keywords | ロバスト制御 / 不確かさ / 集合の演算 / 計算幾何学 / 凸包問題 / 制御系のCAD |
Research Abstract |
本年度は、集合の演算とそのロバスト制御への応用の理論的検討とCADのための支援道具の開発を目的として研究を進め以下のような成果を得ることができた。 1.本研究では、データが不確かさを持つということを、データが1点ではなくある集合として与えられるという考えに立ち、集合に対する演算を導入することによって、不確かさの伝搬の度合を評価することを提案した。不確かさを表す集合のクラスとしては、計算の容易さと不確かさの表現能力の高さの2つの観点から、凸多角形で表現される集合のクラスを採用することが妥当であるという結論を得た。 2.凸多角形の集合に対する和、積、逆元の概念を導入し、その計算法を示した。これらの演算を導入するとともに凸包問題に対する計算幾何学の最近の成果を取り入れることにより、不確かさの伝搬の度合を高速に評価することができるようになった。このことにより、従来の方法では、計算不可能といえるような計算時間を必要としていた問題も比較的短時間で解くことが可能になった。 3.不確かさを有する多変数系に対する設計法の一つとして、逐次帰還差法と類似の方法が適用できることを示した。この方法は、逐次ループを閉じながら新しい開ループ伝達関数を計算する際に、計算の途中では逆元を用いない方法で、逆元を用いることによる不確かさの度合の増大を避けることができる。また、最後の段階で逆元を用いる他は、集合の和と積だけを行えばよいので、2.で述べた方法を用いることにより、計算の手数を大幅に減少させることができる。 4.CADの支援道具の開発に関しては、本年度に購入した設備を用いて、凸包を求めるためのGrahamのアルゴリズム等のインプリメンテーションが完了し、次年度のCADシステム開発の基礎ができた。
|
Research Products
(2 results)