1989 Fiscal Year Annual Research Report
海洋コンクリ-ト構造物の疲労寿命評価とその設計への適用に関する研究
Project/Area Number |
63550352
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 正一 鳥取大学, 工学部, 助教授 (10032286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 公 鳥取大学, 工学部, 助手 (40135835)
矢村 潔 摂南大学, 工学部, 教授 (30026257)
|
Keywords | 曲げ破壊 / 疲労寿命 / 疲労強度 / 鉄筋コンクリ-ト / せん断破壊 / S-N線図 / 疲労寿命予測 / コンクリ-ト標準示方書 |
Research Abstract |
昨年度においては、鉄筋コンクリ-ト(以下RCと称す)はり全体を水中浸漬してせん断疲労特性を検討した。本年度は、せん断力に比べて曲げが支配的な海洋コンクリ-ト構造物に生じると考えられる曲げ疲労破壊に対し、そのモデル化として曲げスパンのみを部分水中浸漬するRCはり供試体の疲労試験を行った。以下にその概要を述べる。 曲げ疲労破壊に対しては,気中では主鉄筋の破断で破壊するはりであっても水中ではコンクリ-ト圧漬型の疲労破壊になりやすいこと、水中でのRCはりの曲げ疲労強度は気中におけるよりも12〜15%程度低下することを明らかにした。また、主鉄筋比、コンクリ-ト強度等を要因に選んだ59体のはり試験を通して、繰返し荷重の大きさと上記要因の組み合わせが曲げ破壊様式に及ぼす影響の分析・分類はほぼ完了した。この結果は、海洋コンクリ-ト構造物の設計において、その最弱部に対する安全性の照査を行う上での簡略化を図る貴重な資料となるものである。つぎに、材料レベルの疲労特性(S-N線式)から部材レベルの疲労寿命を予測する手法ならびにその設計への適用を検討した。その結果,土木学会“コンクリ-ト標準示方書"の疲労に対する安全性の照査の条項は必ずしも適切でないことが判明した。すなわち、土木学会では、応力勾配の疲労に及ぼす有利な影響を過大評価しており、低荷重作用時ほど過大評価となっている。そのため、より精度の高い疲労寿命を予測する手法として、土木学会と同様の考え方に基づくが、この過大評価している部分を修正する予測手法を開発した。また、鉄筋破断型の曲げ破壊をするRC部材の疲労寿命を精度よく予測するためには、構造物が実際に置かれる環境条件下で決定された鉄筋のS-N線式を用いてやる必要のあることも指摘した。海洋構造物の合理的な設計を行うためには今後解決しなければならない問題も多いが、本研究を通して多くの知見が得られた。
|
Research Products
(1 results)