1988 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物埋立層及び土壌層における揮発性有害有機化学物質の挙動に関する研究
Project/Area Number |
63550390
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 信寿 北海道大学, 工学部, 助教授 (90133701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松藤 敏彦 北海道大学, 工学部, 助手 (00165838)
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Keywords | 非イオン性有機化学物質 / 有機塩素化合物 / 埋立処分 / 地下水汚染 / 分配係数 / 溶質輸送 |
Research Abstract |
昭和63年度に研究費補助を受け、既に開始していた本研究をさらに発展させた。収着剤として焼却灰5種類、破砕不燃ごみ、覆土2種類、砂、ごみ成分(プラスチック、紙、木片)を選び、被収着剤としてトリクロロエチレン(TCE)を選んだ。 実験内容は、(1)水中に存在するTCEが収着剤(固形物)へ収着する比率を表わす分配係数を測定するための回分式実験、(2)定常飽和水流れに伴なうTCEが固形物充填層内でどのように収着され、脱着されるかをみるための連続式実験、(3)気相中のTCEが湿った固形物(収着剤)に収着する時の分配係数測定回分式実験、(4)定常ガス流れに伴なうTCEが湿固形物充填層内でどのように収着、脱着されるのかをみるための連続式実験、である。(2)、(4)については実験装置が完成し、データを蓄積しつつある段階である。 その結果、次のような事が明らかになった。(1)廃棄物の固液間分配係数は土壌や底質に比べて高く、廃棄物層のTCE保持能力は高いことがわかった。水中の共存物や温度による分配係数の変化も明らかにした。(2)気相中のTCEの湿った固形物への分配係数は5〜10%以上の含水率では含水率によらず、ほぼ一定であること、また、この分配係数はより基礎的な特性値である固液間分配係数と気液間分配係数とから求まることがわかった。その際、水中におけるTCEの活動度係数としては1.5〜2.0を使う必要のあることがわかった。(3)気液間分配係数(ヘンリー定数)を各種の温度条件で求めた。(4)まだ、不十分だが、TCEの収着機構モデルを提案し、上記の実験データを解析して水中のTCEが固形物へ収着する時の速度定数が焼却灰で0.3h^<-1>、気相中のTCEが湿った固形物へ収着する時の速度定数が破砕不燃ゴミで1.5h^<-1>などの数値を得た。
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[Publications] 李東勲,田中信寿,神山佳一: 衛生工学研究論文集. 25. 15-20 (1989)
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[Publications] 李東勲,田中信寿,神山佳一: 水質汚濁研究.
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[Publications] 李東勲,田中信寿,神山佳一,照山伸一: 土木学会第43回年次学術講演会第2部. 146-947 (1988)
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[Publications] 須賀研二,李東勲,田中信寿,神山佳一: 土木学会第44回年次学術講演会. (1989)
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[Publications] 李東勲,田中信寿,神山佳一,後藤聖: 土木学会第44回年次学術講演会. (1989)