1988 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性付着増殖型反応器における生物膜形成機構におよぼす細胞外ポリマーの役割
Project/Area Number |
63550393
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
原田 秀樹 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70134971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 信夫 長岡工業高等専門学校, 土木工学科, 助手 (30193072)
桃井 清至 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60003852)
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Keywords | 生物学的水処理 / 生物膜 / 嫌気性微生物 / 細胞外ポリマー / 付着力 / 自己固体化 / 嫌気性処理 |
Research Abstract |
嫌気性生物膜反応器の処理性能を適切に評価し、より信頼性、安定性のある処理技術として発展させる為には、嫌気性生物膜の付着増殖機構、すなわち自己固定化メカニズムを解明し、それに基づき生物保持能を増大させる技術を開発する必要がある。本研究の目的は、嫌気性生物膜の付着増殖機構を細胞外ボリマーの生化学的役割から解明し、あわせて生物膜の剥離におよぼす流体せん断応力の影響も定量化することである。前者の研究対象としては、スラシジブランケット型反応器で形成した嫌気性グラニュール汚泥の走査・透過電顕による形態学的構造の観察と細胞外ポリマーの生化学的特性を検討した。後者の研究対象としては、チューブラー型反応器で形成させた脱窒素細菌生物膜の付着・剥離作用に及ぼす生物膜構造(生物膜厚、膜乾燥密度、細胞外ポリマー含量等)について検討した。本研究で得られた知見は以下の通りである。 (1)メタン生成グラニュール汚泥から抽出した細胞外ポリマーの構成中性糖はグルコース>ラムノース>ガラクトース>マイノース〓リボースの順であった。酸生成菌の分泌する細胞外ポリマーは細胞同志の付着・凝集作用に寄与し、特にガラクトウロニック酸を含む酸性多糖が細胞付着に大きく関与していた。 (2)チューブラー反応器に付着増殖した脱窒生物膜は、生物膜の生長に伴って、膜乾燥密度は増大し、膜密度と生物膜厚との間に正の相関があった。 (3)生物膜内の細胞同志の付着力に相当する生物膜の降伏値は、剥離が生じる時の流体せん断応力よりもはるかに高く、剥離現象は生物膜自体の内的因子が重要である。 (4)生物膜乾燥密度が増加すると生物膜の降伏値が高くなり細胞同志の付着力は強くなる一方、生物膜が生長してゆくと気泡が増大し、付着力のない空洞部分が形成される。 (5)生物膜剥離速度は、単位面積生物膜量と高い正の相関があり、細胞外ポリマー含量と負の、気泡体積率とは正の相関があった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Harada: Priceeding of IAWPRC Asian Workshop on Anaerobic Treatment. 7・1-7・10 (1988)
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[Publications] 大橋晶良,原田秀樹,桃井清至: 衛生工学研究論文集. 25. 209-220 (1989)
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[Publications] 原田秀樹、桃井清至,大手一信,村上繁樹: 衛生工学研究論文集. 25. 161-170 (1989)
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[Publications] 大橋晶良,戸手耕治,桃井清至,原田秀樹: 水質汚濁学会講演集. 22. 349-350 (1988)
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[Publications] 原田秀樹: 用水と廃水. 31. 5-11 (1989)