1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550400
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
綾 日出教 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (60010675)
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Keywords | 下水汚泥 / 嫌気性消化 / メタン発酵 / 膜分離 / 固定化微生物 / バイオリアクター |
Research Abstract |
膜分離固定化生物反応槽による嫌気性消化の基本的な特性を知るために大型化した装置を用い、相分離を行なわずに実験を行なった。実験装置は、有効容積4lのガラス瓶と径150mmの平膜モジュールにより構成される。処理対象は実際の最初沈澱池生汚泥(SS3000mg/l)であり、セミ回分方式として消化温度を25、30、35、40、50℃の5種に設定した。反応槽の攪拌と加温にはホットプレート付きマグネティックスター5を用い温度制御を行なった。順養期間を2ケ月とし、約30日毎に処理量を増加させながら100日以上の連続運転を行なった。 実験の成果は以下の通りである。 (1)連続投入では、低温消化の方が安定している。 (2)増殖と自己消化が平衡に達し、MLSS濃度が一定になる。 (3)高温消化の方が平衡MLSS濃度が低くなる。 (4)MLSS中の灰分の比率は約50%で、濃度に関係しない。酸発酵が卓越しても同じである。 (5)透過液中の有機酸濃度はきわめて少なく、CODcrは100〜200mg/l程度であり、非常に清澄である。 (6)汚泥中の有機物はほとんど完全にガス化する。従って、ガス発生量は各消化温度で同一である。 (7)故障などによりメタン発醗が阻害されると、消化温度が高いほど回復が遅くなる。これは酸発酵速度が早いためにショックが大きくなることに起因すると考えられる。 本システムでは、下水処理における最大の課題であった汚泥処理問題が完全に解決できる。汚泥中の有機物がほぼ完全にガス化すると同時に、灰分まで溶解してしまうため、汚泥の脱水、焼却、および埋立処分が不必要となる。
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