1988 Fiscal Year Annual Research Report
破壊現象に伴う弾性波の発生源及び伝播過程の特性分離に関する研究
Project/Area Number |
63550403
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和泉 正哲 東北大学, 工学部, 教授 (10005506)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 哲 東北大学, 工学部, 助手 (90195553)
野村 希晶 東北大学, 工学部, 助手 (80125632)
|
Keywords | 地震波 / AE波 / 分離 / 因果性 / 因数分解 / ウィナーフィルタ / 因果推定 |
Research Abstract |
建築構造の分野における波形処理においては従来はほとんど利用されていなかった「因果性」の情報を用い、波形の分離やシステムの特性の抽出を行ったことが本研究の特徴的な成果である。因果性は、現象の物理的意味に深く関連する重要な性質である。 1.デジタルデータの使用を前提としたFFT(高速フーリエ交換)による波形解析手法を超関数論の立場からまとめ、周波数領域と時間領域の対称性を確立した。この結果を用いて、因果性に基づき関数を因数分解する手法を詳しくまとめ、数値計算例によって、因数分解された各成分の意味を検討した。この手法は、従来よく用いられた振幅と位相による扱いに加え、さらに新たな情報を記録から抽出したものといえる。 次にこの手法を、実際に観測された多くの地震記録に適用し、分解された各成分の特性について検討を行った。この際に、多くの観測点における多成分の同時記録を用いて比較することにより、さらに詳しい検討を行っている。結果として、地震動の震源過程・伝播過程・応答過程における固有の特性を評価できる可能性があることを示した。今後、多くの記録にこの手法を適用した結果の整理・蓄積が必要である。 2.ふたつの観測成分から、その間に成立するシステムを評価するためのウィナーフィルタの推定問題において、システムの因果性を条件として付与した場合について、FFT解析によって整理し、実記録を用いて検討した。結果としてこの因果推定手法は、物理的に因果なシステムが実際に現象として存在することが期待される場合に、それを乱す成分の影響(特に伝播過程)も含めて考察するために有効と考えられる。 3.上記の因果性に基づく二手法はAE波にも同様に有効であると考えられるが、実際に観測された記録は、試験体が有限であるために定在波が主であること、センサーの特性がそろえ難いことなどの障害がある。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 和泉正哲: 日本建築学会構造系論文報告集. No.390. 18-26 (1988)
-
[Publications] 和泉正哲: 日本建築学会構造系論文報告集. No.390. 27-33 (1988)
-
[Publications] 和泉正哲: 日本建築学会大会学術講演梗概集. Vol.B. 689-690 (1988)
-
[Publications] 和泉正哲: 日本建築学会大会学術講演梗概集. Vol.B. 691-692 (1988)
-
[Publications] 和泉正哲: 日本建築学会東北支部研究報告集. 第51号. 297-300 (1988)
-
[Publications] 和泉正哲: 日本建築学会大会学術講演梗概集. Vol.B. 693-694 (1988)