1989 Fiscal Year Annual Research Report
直交ばりを有する鋼柱はり接合部の最適強度に関する実験的研究
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63550415
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牧野 稔 九州大学, 工学部, 教授 (80037978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 昭雄 国立都城高専, 助教授 (50038105)
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Keywords | H形鋼柱はり接合部 / 直交ばり / パネル部材降伏比 / 最大せん断耐力 / エネルギ-吸収能力 / 部材幅厚比 |
Research Abstract |
H形鋼強軸部材で構成する骨組を対象に、せん断塑性変形能力に優れた柱はり接合部(パネル)の復元力特性を骨組の終局耐震設計に積極的にかつ適切に活用することを究極の目標に、本年度では、直交ばりが溶接接合されたパネルの復元力特性を明らかにするための実験を行った。実験変数をパネルと部材の相対強度(パネル部材降伏比α=0.5、0.6の2種類)、直交ばり(有無の2種類)として、試験体総数4体について実施した。このとき、柱断面びフランジ幅厚比は全ての試験体で15の一定とした。αの値が比較的大きい骨組の直交ばりの効果に関する実験資料が既往の研究ではほとんど無いため、α=0.5、0.6のとき直交ばりの効果に特に注目したものである。実験では地震力が作用した多層骨組の変形状態を再現するT字形部分骨組を採用し、一定の柱軸力(降伏軸力の3割)のもとで、単調加力をはり端に行った。得られた結果は次のようである。 (1)試験体4体の最大せん断耐力τmax/τy(無次元平均せん断応力度)は1.27〜1.43で小さい。 (2)α=0.5、0.6の場合、α=0.4以下の既往の実験結果と比較すると、直交ばりの存在がパネルの最大せん断耐力の上昇に与える効果は10%で比較的小さい。 (3)α=0.5、0.6のいずれの骨組においても、直交ばりが有る骨組より直交ばりが無い骨組の方が骨組最大耐力時の変形量はやや大きいが、大差ではない。 (4)しかし、最大耐力以後の耐力低下は、α=0.5、0.6のいずれの骨組においても、直交ばりが無い骨組より直交ばりが有る骨組の方が大きい。 (5)最大耐力時までの骨組の吸収エネルギ-量は、α=0.5、0.6のいずれの骨組においても、直交ばりの有無によりほとんど変化しない。
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