1988 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental Competenceからみた避難行動特性に関する研究
Project/Area Number |
63550439
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舟橋 國男 大阪大学, 工学部, 助教授 (50029203)
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Keywords | 経路探策 / 経路選択 / 避難行動 / 環境認知 |
Research Abstract |
1.研究方法について、環境行動・環境心理研究分野における最近の文献等を精査し、方法論的な実証性に関する検討をさらに加えた。 2.現存の典型的な事務所建築についての資料(平面図・防災設備等配置図等)を収集整理の上、実験対象選定の基礎資料を作成した。 3.いくつかの大規模な施設(事務所建築・病院ならびに駅舎)において管理者等にヒアリングを行い、当該施設内における利用者、特に初めて来訪する利用者等の、迷い行動の実態について資料を得た。 4.中廊下型施設2例について初来訪者を被験者とする探策行動並びに施設認知に関する実験結果を分析し、施設平面計画の複雑さ・施設内容に関する被験者への教示方法・学習経験の影響を調べた。 (1)施設内経路の長さ・分岐点数の相違によって探策行動の円滑さに差が見られ、経路が長く分岐点の多い場合に迷いが多く、試行を重ねても改善されにくい。 (2)最初に図面によって施設内容を学習した被験者は、経路形状等について概念的・図式的に認識する傾向が強く、これが実際の探策的歩行において現場の状況に同定できない時、認識と行動の関係が混乱し、空間の把握が退化し、探策行動の混乱も継続する傾向がみられた。一方、最初から歩行経験による学習を行った場合は、学習の効果が大きく空間把握・探策行動共に良好になる。 (3)探索歩行行動における動作は、経験を重ねるに連れ一般的には円滑になる。 (4)以上から、避難時等探策的行動を強制される事態において、円滑な行動を阻害する要因の一つとして、当該空間の複雑さ・経験の量的側面のみならず、経験のされ方にも影響をうけたEnvironmental Competenceの存在が指摘される。
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