1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550463
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日下部 吉彦 京都大学, 工学部, 教授 (30025978)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠田 啓 京都大学, 工学部, 助手 (90169988)
西山 孝 京都大学, 工学部, 講師 (70026227)
|
Keywords | 細粒鉱石 / 粗粒鉱石 / 黒雲母 / 熱水変質 / アプライト / 優白質花崗岩 |
Research Abstract |
滋賀南部の信楽地域では黒雲母花崗岩中に長石鉱床が多数胚胎していて、これらは從来からアプライト質長石鉱床と言われている。これら長石鉱床の産状と成因に関する研究の成果を要約すれば以下の通りである。 1.鉱床は細粒鉱石からなる鉱床と粗粒鉱石からなる鉱床とに分けられる。両者が共生する場合はほとんどないが、阿山鉱山では粗粒鉱石の鉱体を貫いて細粒鉱石の鉱体が胚胎している。 2.鉱石の主要構成鉱物はアルカリ長石、斜長石、石英であるが、その他に黒雲母が微量含まれ、ときには白雲母が認められることもある。 3.細粒鉱石の鉱床は阿山、NS、八良谷、WNWーESE、百枚谷、NEーSW、のように鉱床の伸長方向が明瞭であるが、粗粒鉱石の鉱床は不規則な塊状を呈する。鉱床と母岩との境界は前者では岩相の相違により明らかであるが、後者では黒雲母含有量の違いで一応識別し得る程度に過ぎない。 4.顕微鏡下では細粒鉱石には通常、微文象構造が認められる。一方、粗粒鉱石では微文象構造は時折り見いだされるに過ぎない。両種の鉱石に微量含まれている黒雲母はそのほとんどが緑泥石化されている。また絹雲母化作用を被った長石結晶も少なからず見うけられる。 5.本地域の花崗岩体中に発達する断裂系の卓越方位は、断層ではWNWとENE、リニアメントではWNW、ENE及びNSであるが、これらの断裂系による構造規制に見られる鉱床は数少ない。断裂系は鉱床生成後の熱水変質作用に関与してそれを助長した場合が多かったものと思われる。 上記の結果から、細粒鉱石の鉱床は産状、鉱石の鉱物組成及び組織などから見てアプライトであり、粗粒鉱石の鉱床は花崗岩体中で有色鉱物に乏しく著しく優白質な部分に相当すると考えられる。
|
Research Products
(2 results)