1988 Fiscal Year Annual Research Report
非晶質合金中の結晶核生成・成長と合金元素の挙動に関する原子尺度での研究
Project/Area Number |
63550477
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 雅彦 大阪大学, 工学部, 助教授 (30029160)
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Keywords | 非晶質合金 / 合金の微細構造 / 相変態 / Pd基合金 / アトムプローブ / 統計学的解析 / 合金元素の挙動 / 原子尺度の研究 |
Research Abstract |
非晶質合金の構造及び非晶質合金中に生成する結晶核の構造を原子尺度で明らかにするため、アトムプローブ・フィールドイオン顕微鏡を用いて観察・分析を行った。 アトムプローブ分析によって得られるデータは、電界蒸発した順による一次元の"原子種の列"になっている。先ず、これらのデータを統計学的に処理して、三次元の合金微細構造を明らかにする手法、即ち統計学的構造解析法を確立した。主に、(i)マルコフチェーン分析法と、(ii)自己相関係数法、である。マルコフチェーン分析では、従来の統計学的手法に加えて、クラスターを考慮し、また、クラスター間の相互作用も考慮したモデルを導入し、表式化した。即ち、N個のチェーンをなす確率分布D_A(N)は、 で与えられる。 実際にアトムプローブ分析することにより得られたPdー16at%Si非晶質合金のデータを上式によって解析した結果、相互作用パラメーターθの値より異種原子同士が集まりやすいことが、またクラスターサイズd(j)の値より5ー7個のPdからなるクラスターが多く存在することが分かった。これらの結果は、規則格子形成の初期の領域と超微細なPdに富む領域の共存とみることが出来る。 PdーSiーX(X=Au,Cu)合金では、先ず、結晶化過程の概観を明らかにするため電子線回折により調べた結果、Auを添加した場合、結晶化が促進されることが分かった。これら3元系合金に対しても、上式の解析方法は適用でき、現在、アトムプローブ分析が進行中である。
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