1988 Fiscal Year Annual Research Report
金属ーカルコゲン融体を電極として用いる水素ガス製造に関する基礎および応用研究
Project/Area Number |
63550495
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八尾 伸也 大阪大学, 工学部, 助手 (90029299)
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Keywords | 酸素の活量係数 / 金属ーカルコゲン融体 / 水素製造 / 固体電解質 |
Research Abstract |
CuーTe、CuーS、NiーS、TlーTe融体中においては、酸素の活量係数は純Cu、Ni、Tl中より10倍近くも小さく、酸素の飽和溶解度もはるかに大きい。金属ーカルコゲン融体のこの性質を利用し、水素ガス製造用電極として用いることが本研究の究極の目標である。金属ーカルコゲン融体中の酸素の熱力学的性質をより明解にするため、昭和63年度は、水素ガス製造用電極の候補であり、これまでまったく報告例のない、CoーS、SnーTe融体中の酸素の活量係数、γoを1423Kにおいて、種々のSおよびTe濃度で測定した。リード線として、ランタンクロマイト棒およびレニウム線を用い、著者らの考案した改良型電量滴定法により、γoの値を高精度で決定することができた。CoーS融体中におけるγoの組成依存性は以前に測定していたNiーS融体中のγoの挙動と類似している。35at%Sを含むCo融体中のγoの値は純粋Co融体(但し、高温のデータより外挿)中の値の1/10とはるかに小さい。すなわち、Sの添加により飽和酸素濃度は急激に増加している。さらにS濃度が増えていくとγoは急激に大きくなる。SnーTe融体の場合においては、Te濃度の増加に伴うγoの急激な減少は、当初の予想濃度40at%を越え、50at%まで認められた。40〜50at%Teを含むSn融体中の酸素の飽和溶解度は純Sn中に較べて約20倍も大きい。さらに他の測定法により酸素の飽和溶解度のみの実験を行い、上記実験結果を確認した。以上の結果より、CoーS、SnーTe融体は共に水素ガス製造用電極として有望であることがわかった。著者の導出した酸素溶解モデル(PCCモデル)はCoーS、SnーTe融体および以前に測定したCuーTe、CuーS、NiーS、TlーTe融体中のγoの組成依存性をかなり良好に再現しており、一般的に金属ーカルコゲン融体に適用できることが示唆された。水素ガス製造用電極として有望なる融体をこのような計算によっても模索できることがわかった。今後はこれら融体を用い水素ガス製造を行う。
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Research Products
(2 results)