1988 Fiscal Year Annual Research Report
Ti-Ni形状記憶合金の加工性に及ぼす諸因子の効果
Project/Area Number |
63550498
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 修一 筑波大学, 物質工学系, 講師 (50133038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 和弘 筑波大学, 物質工学系, 教授 (50029881)
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Keywords | 形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / Ti-Ni合金 / 延性 / 形状記憶効果 / 加工性 / 超弾性 |
Research Abstract |
各種組成比のTi-Ni合金(Ti-50.0Ni,Ti-50.5Ni,Ti-51.0Ni,Ti-51.5Ni(at%))を用いて、本合金の加工性に及ぼす焼鈍温度、時効温度、組成及び試験温度の効果を明らかにする目的で、引張試験による破断伸び及び断面収縮率を測定した。その結果、Ti-Ni合金の加工性あるいは延性は、以下のように上述の各種因子に強く依存することが判明した。 1.冷間加工材の破断伸びは約20%であり、700K以下の温度での焼鈍によってもほとんど変わらなかった。しかし、約800K以上の温度で焼鈍することによって、破断伸びは著しく増大し、約70%にも達した。この延性の増大する温度は、再結晶温度以上の範囲にあった。 2.Ni濃度が50.5at%以上の組成範囲では、時効により微細な析出物(Ti_2Ni_3)が形成されるが、これは延性を著しく劣化させる原因になる。このため、高Ni濃度の試料では時効析出物の形成されない温度域で熱処理する必要があり、この温度も約800K以上であった。 3.溶体化処理材について試験温度の効果を調べた結果、Ni濃度が50.0〜51.0at%の範囲内では試験温度により延性は変化した。Ms点近傍で最大値約70%を示し、それよりも高温側では温度の上昇と共に伸びは減少した。Ms点より低温側では、高温側とは異なり、温度の低下と共に伸びが減少した。 4.組成依存性に関しては、溶体化処理材を3つの温度(室温、Ms点、473K)で変形して調べた。室温変形の結果は、Ni濃度の増加と共に延性は低下し、50.0at%Ni試料で70%であったものが、51.5at%Ni試料では約10%になった。Ms点で変形した結果は少し異なり、50.0から51.0at%Niの組成範囲では、延性は組成依存性を示さず、いずれの組成も約70%近い伸びを示した。473Kでの変形では、いずれの組成でも低い伸びを示した。 以上の結果、本合金の加工条件が確立された。
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