1988 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルブレンド法による強制複相材料の生成と多機能特性
Project/Area Number |
63550526
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松崎 邦男 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20181711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 明久 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (10108566)
増本 健 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20005854)
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Keywords | メカニカルブレンド法 / メカニカルアロイング法 / 高エネルギー型ボールミル / 粒子分散型合金 / 二相分離型合金 |
Research Abstract |
本研究では、高エネルギー型ボールミルを用いたメカニカルブレンド法により、通常の溶解、凝固法では作製困難な複相材料の合成を試み、その多機能特性と組織を調べることを目的として行った。 はじめに、半導体Siと超伝導体PbおよびPbBi合金との複相材の合成を試みた。Si-Pb系は平衡状態図で二相分離型合金であり、溶解法あるいは融体急冷法を用いても均一な組織を有した合金を得ることは困難であった。しかしながら、ボールミルを用いて、Si粉末とPb粉末をメカニカルブレンド後、ホットプレスにより融点以下でバルク化した試料の組織はSiの母相中にPb粒子が粒径1-2μm、粒子間隔1-2μmで均一に分散した組織を示すことがわかった。また、SiとPbBi合金を用いた場合にも同様にSi中にPbBi粒子が均一で微細に分散した組織が得られることがわかった。 次に、これらのバルク材の電気抵抗特性を調べた結果、室温での比抵抗は2000μΩcmと非常に大きく、正の温度依存性を示すとともに、20K-室温まで直線的に変化し、R_<300>/R_<20>=5程度であった。さらにSi-Pb系では7.2-3.7Kで、Si-(PbBi)系では8ー3-8ー6Kで超伝導性を示すことがわかった。また4.2Kでの上部臨界磁場(H_<C2>)はSi-Pb系で1.2-1.8T、Si-(PbBi)系で、2.7-7.4Tであり、Pb単体のH_<C2>の20倍、PbBi単体の2倍と複相化により大きく上昇することがわかった。これらの大きな比抵抗、温度依存性、H_<C2>の上昇はSiおよびPb単体では得られず、複相化によってはじめて得られるものであり、Si中にPbが微細で均一に分散することによって電気伝導を担うPbの伝導電子の平均自由行程が減少したことに起因するものと考えられるが、現在さらに詳細な解明を行っている。 今後は、組織を制御することにより、特性の向上を試みるとともに、複相化による磁気的な特性の変化についても調べる予定である。
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