1988 Fiscal Year Annual Research Report
微細粒超塑性変形における動的再結晶の役割に関する研究
Project/Area Number |
63550536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧 正志 京都大学, 工学部, 教授 (10026247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津崎 兼彰 京都大学, 工学部, 助手 (40179990)
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Keywords | 超塑性 / 動的再結晶 / 2相ステンレス鋼 / 2相微細組織 / 亜粒界 |
Research Abstract |
研究には2相ステンレス鋼(Feー25%Crー7%Niー3%Mo)を用いた。試料をα単相域の1300℃で1hrの溶体化後水冷しα単相組織を得、これを室温で90%圧延した後、(α+γ)2相域の1000℃に加熱し微細2相組織(亜粒界からなるα組織中にγが微細に析出した組織)を得た。このような微細2相組織材および90%冷間圧延ままのα単相材を1000℃にて種々のひずみ速度で引張試験をし、超塑性変形挙動と変形中の組織変化を検討した。得られた主な結果は以下のとおりである。 1.微細2相組織材では、ε^^・=1.7×10^<-3>/sで670%伸びと大きな超塑性を示すが、ε^^・=1.7×10^<-1>/sと高速変形になると80%程度の伸びしか示さない。この結果は従来の他の研究者の報告と同じ傾向である。しかし、α単相材を90%冷間圧延したまま直接2相域の1000℃に加熱し引張試験すると、ε^^・=1.7×10^<-2>/sでは1300%伸びでも破断せず、ε^^・=1.7×10^<-1>/sでも930%伸びを示し、高速変形でも超塑性がおこることを見い出した。このような高速変形で超塑性が出現することは2相ステンレス鋼においては本研究で初めて明らかになったものであり、超塑性を工学的に応用するに際して極めて好ましい知見である。 2.主として、α単相冷間圧延材の(α+γ)2相域での超塑性変形中の組織観察を行なった結果、少なくとも現在までの実験範囲内では、変形の初期に急速に母相αの再結晶がおこり微細な2相組織が形成されること、その後の大きな超塑性伸びは主として粒界すべり機構により生じるものであり、変形中に繰返して再結晶がおこる動的再結晶が大きな超塑性伸びを生ずる主要な変形機構ではない、ことが明らかになった。現在引き続き詳細な組織観察をおこなっており、高ひずみ速度で超塑性が出現した原因について検討を進めている。
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