1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550545
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粉川 博之 東北大学, 工学部, 助教授 (10133050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 嘉洋 東北大学, 工学部, 助手 (00170796)
木口 立而 東北大学, 工学部, 助手 (60005410)
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Keywords | ステンレス鋼 / 溶接金属 / 溶接熱影響部 / アーク溶接 / 組織学 / 結晶学 / シグマ相 / 粒界腐食 |
Research Abstract |
SUS304型オーステナイト系ステンレス鋼をアルゴンガス雰囲気下でGTA溶接し、溶接部の組織について結晶学的観点から検討を行い以下の結果を得た。 1.SUS304L鋼溶接金属中にはレース状フェライトとバミキュラー状フェライトが混在し、レース状フェライトとオーステナイトの整合性は良く、バミキュラー状フェライトとオーステナイトの整合性は悪い。同溶接金属を1073Kに保持した場合、フェライト相は少なくなり、レース状フェライトは角張った形で特定の方向に細長くなりバミキュラー状フェライトは丸くなる傾向にある。また、973Kではシグマ相が析出するが、レース状フェライトよりもバミキュラー状フェライトの方が析出し易い。このような溶接金属中のフェライトの高温変態挙動におけるレース状フェライトとバミキュラー状フェライトの間の違いは、フェライト相とオーステナイト相間の整合性の差で説明される。これらの結果から、溶接金属組織形態を変えることによるシグマ析出等の変態挙動制御の可能性が示唆された。 2.SUS304鋼溶接熱影響部の結晶粒界腐食と粒界の結晶学的性格の関係を調べた。同熱影響部をしゅう酸エッチングすると、溝状にエッチされると粒界とされない粒界が存在し、さらに硫酸・硫酸銅腐食試験を行うと溝状にエッチされた粒界にのみ割れが観察された。走査電子顕微鏡観察とECP解析の結果、結晶粒界構造の規則度が高い粒界は溝状にエッチングを受けていないことがわかった。また、透過電子顕微鏡観察と菊池線解析の結果、粒界構造の規則度が高い粒界には炭化物が析出していないことがわかった。したがって、結晶粒界の性格制御による溶接熱影響部粒界腐食防止の可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)