1988 Fiscal Year Annual Research Report
超微量物質と微少領域のキャラクタリゼーションへのX線の応用
Project/Area Number |
63550561
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
岩附 正明 山梨大学, 工学部, 助教授 (20020430)
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Keywords | 超微量物質 / 微小領域 / キャラクタリゼーション / X線マイクロディフラクトメーター / 低膨張性結晶 / 結晶の分布と配向 / 超微量試料用ホルダー |
Research Abstract |
1.微少領域のキャラクタリゼーションの方法を確立するため、まず低膨張性結晶を析出させた耐熱磁器や結晶化ガラスを用いて研究した。低膨張性結晶の異方性が大きいので、それらの分布や配向を制御することは特に重要である。インド石を主成分とする耐熱食器(皿)、β-ユークリプタイト固溶体を主成分とする透明結晶化ガラス板、β-スポジューメン固個溶体を主成分とする白色結晶化ガラス板を5mm角に切断して断面を研磨し、X線マイクロディフラクトメーターに取付け、30μmに絞ったX線ビームの照射位置を順次移動させてX線回折図形を測定した。 2.その結果、耐熱食器の表面から200μm以上深い内部ではどこでも、主成分のインド石と少量成分のエンスタタイトによる同様の回折図形が得られ、粉末ともほぼ同じであった。すなわち、これらの比較的微細な結晶がどこでも同じ配向状態で分布していた。これに対し、表面付近の回折図形は場所により大きく変化し、その主成分はβ-石英型固溶体で、かなり粗い結晶が表面に近くなるほど多く分布していた。一方、結晶化ガラスでは、透明板・白色板ともその回折図形は内部と表面とで変化はなく、微細な結晶が均一に分布していることが確認された。この研究成果は日本分析化学会第37年会において発表し、現在投稿準備中である。 3.さらにどの程度微量の試料でX線マイクロディフラクトメーターによる同定や定量が可能について、石英微粒子を用いて研究した。既製の試料ホルダーでは試料の保持に不都合であったので、新たに超微量試料用ホルダーを自作した。これに微量の粘着性ゴムを用いることにより試料微粒子をうまく保持でき、この方法により数μgの試料でもその同定が簡便に行なえることが分かった。しかし、定量分析についてはなお検討を要することが分かった。今後この方法を大気粉じん微粒子、金属中の介在物その他種々の超微量物質の分析へ応用したい。
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