1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550573
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田原 修 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助教授 (90185611)
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Keywords | 燃焼合成法 / 窒化反応 / 液体窒素 / 反応伝播 / 金属窒化物 / 自己発熱反応 / 反応生成熱 / 高融点無機化合物 |
Research Abstract |
従来研究の結果、Ti粉末と窒素との燃焼を利用したTiNの燃焼合成において反応伝播特性と反応体表面での温度勾配を制御することが高効率合成にとって重要であることがわかった。本年度は、着火を反応体下部で行えるように装置を改良し、反応伝播方向を上方あるいは下方とした場合におけるそれぞれの反応伝播特性および合成過程の違いを中心に調べた。液体窒素を用いると、窒素の反応体への供給量は増加するが反応体表面での温度勾配が大きく、必ずしも高い転換率は期待できない。本実験では、反応体を石英管中に保持し側面での温度勾配を制御するとともに下方での保持形状を制御し着火用の熱の散逸が少なくなるようにした。本実験で検討した下方からの伝播を利用すると、上方への反応伝播に伴い熱及び気化した窒素ガスも上方に移動するためより高い転換率が期待できる。一方、下方への伝播では反応の進行に伴い熱及び生成ガスは基本的に上方へ散逸するため上方への伝播に比べ効果的でないと考えられる。上方及び下方からの反応伝播における燃焼反応伝播速度と転換率の反応性圧粉体の充填度に対する関係を調べた結果、充填度の増加とともに伝播速度は減少し転換率が上昇する傾向はいずれも同様であるが、伝播速度については下方からの伝播が多少小さく、また転換率については上方からの伝播での依存性に比べ下方からの伝播では約55%の充填度で最も高い60〜70%の転換率であり約40%充填度の場合の2倍程度であった。したがって、下方からの伝播ではより高い転換率を達成できることを確認した。これらの知見に基づき、液体窒素を用いた新しい窒化物合成装置を試作し現在研究を進めているが、本研究で得られた成果は今後のより経済的かつ新規な窒化物合成法の提案に重要な指針を与えることができたと評価している。
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[Publications] Hiroshi Kudo: "Characteristics of Self-Propagating Reaction in TiN Combustion Synthesis." Journal of Materials Science. 24. 4030-4033 (1989)
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[Publications] Hiroshi Kudo: "Characteristics of Ignition and Self-Propagating Reaction in TiN Combustion Synthesis" Proc.32nd Jpn.Congress of Mater.Research. 168-172 (1989)