1989 Fiscal Year Annual Research Report
複コロイド粒子を用いたLa_2O_3ーTiO_2系誘電体材料の組織および物性制御
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63550577
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 順一 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (40110259)
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Keywords | ランタン・チタン酸化物 / 誘電特性 / 組成制御 / 共沈法 / 複合誘電体 |
Research Abstract |
1.前年度の研究で確立された、ランタンーチタン(スズ)多成分系における化合物の単相微粉末の調整法を、La_2Sn_2O_7ーLa_2Ti_2O_7系の複合誘電体に適用して目的の組成を有する複合粉体を直接合成し、さらに焼結条件を制御することにより、異なる組織から成る種々の組成の複合誘電体を製造し、それらの誘電特性との相関を明確にすることを第一の目的とした。複合系全体にわたり、複合粉体の特性や焼結特性、さらに合成された複合焼結体の微構造を詳細にSEM観察することにより、不均一さの原因となる粉末混合法を用いないで合成された複合粉体から、組成に依存しながらも均一な組織を持つ複合誘電体が得られることが確認された。これらの複合誘電体の誘電特性としては、誘電率が組成に依存して直線的に変化すること、また容量の温度特性としては、両方の端組成において大きな値となるが、混合組成においては小さくてかなり安定な正の温度係数を持つ誘電体となることが明らかとなった。 2.本研究で確立した共沈法が、類似の組成から成る多成分系化合物単相粉の調整法として有用であることを明らかにする目的で、マイクロ波用誘電体材料としてはより実用的なBaOーLa_2O_3ーTiO_23成分系において最も有望な3成分化合物である1:1:4(モル比率)相の合成を試みた。その結果、3種類の陽イオンを同時に析出させる方法では再現性よく合成できないこと、むしろある特定の陽イオン種を、あらかじめ化合物粉末の形態で共沈系に導入することにより調整した前駆体からは、きわめて再現性よく合成できることが示された。このように、本研究で確立した共沈法に基づいた調整法は、ランタノイドーバリウムを含む多成分系の多くの化合物粉の合成法として広範に利用できることが期待される。
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