1988 Fiscal Year Annual Research Report
高選択的合成触媒能を有する修飾シクロデキストリンの分子設計
Project/Area Number |
63550591
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小宮山 真 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (50133096)
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Keywords | シクロデキストリン / 化学修飾 / 選択的合成 / ヒドロキシメチルフェノール / 分子設計 |
Research Abstract |
選択性の高い触媒を分子設計する手法の開発は、工業化学上、極めて重要である。すでに、申請者は、環状のオリゴ糖であるシクロデキストリンを触媒として用いることにより、種々の合成反応をほぼ100%の選択性で、しかも高収率に行うことに成功した。本研究では、一層広範な有用ファインケミカルの選択的合成に対して触媒能を有する修飾シクロデキストリンを分子設計するための基礎的知見を確立することを目的とする。 今年度は、ホルムアルデヒドとフェノールより4-ヒドロキシメチルフェノールを合成する反応を主たる対象とした。その結果、ヒドロキシプロピル基をシクロデキストリンの1級水酸基側に導入した修飾シクロデキストリンを触媒とすることにより、目的物を95%以上の選択性で合成することに成功した。それに対し、修飾シクロデキストリンの不在下では、多量の2-ヒドロキシメチルフェノールが副生し、目的物の選択性は60%にとどまる。また、ヒドロキシプロピル基を導入していない未修飾のシクロデキストリンを触媒とした場合の選択性は80%程度であり、化学修飾による選択性向上効果は顕著である。反応系内に生成する複合体の構造をNMR、可視紫外、およびCDスペクトル測定により検討した結果、フェノールはパラ炭素の側からシクロデキストリンの空洞に侵入し、またホルムアルデヒドとヒドロキシプロピル基が水素結合を形成することが明らかとなった。すなわち、導入されたヒドロキシプロピル基により空洞内に固定されたホルムアルデヒドがフェノールのパラ位を効率的に攻撃する結果、選択的合成が達成される。これらの知見は、詳細な分子設計に基づいてシクロデキストリンに化学修飾を加えることにより、望みの合成反応に対して有効な触媒が開発できることを示唆する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Komiyama: J.Doord.Chem.18. 181-184 (1988)
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[Publications] M.Komiyama: Polym.J.20. 439-440 (1988)
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[Publications] M.Komiyama: Bull. Chem.Soc.Jpn.61. 2079-2082 (1988)
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[Publications] M.Komiyama: J.Chem.Soc.,Chem. Commun.651-652 (1988)
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[Publications] M.Komiyama: J.Mol.Catal.