1988 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム錯体の光脱水素触媒作用によるアルキルC-H結合の活性化
Project/Area Number |
63550594
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 泰和 東京大学, 工学部, 教授 (10010761)
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Keywords | バスカ型ロジウム錯体 / 錯体の光触媒作用 / 配位不飽和錯体種 / アルカン光脱水素反応 / 2-プロパノール光脱水素反応 / 1次の光強度依存性 / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
光錯体触媒反応は、錯体の光励起過程が反応サイクル内に含まれる光援助型と、錯体に対する光の関与が反応サイクルの外に限られる光誘起型の二つに分けられ、後者は反応に伴なうギブス自由エネルギー変化が負の場合にのみ実現する。 昨年当研究室で、バスカ型ロジウム錯体の光触媒作用により、穏和な反応条件でアルカンからアルケンと水素の生成することが見出された。昭和63年度においては、同錯体のMLCT(金属から配位子への電荷移動吸収、極大波長364nm)帯照射に関し1次の光強度依存性を示すことが明らかにされた。同錯体については、内光光分解法の結果から、MLCT励起はカルボニル配位子を光脱離させ、配位不飽和の14電子錯体種を生成することが既に知られているので、光の役割は安定な四配位錯体をアルカン脱水素活性のある三配位錯体に変えることと考えられる。 RhCl(CO)(PMe_3)_2はノナンに対し132℃で1404h^<-1>の脱水素反応速度を与えた。ヘプタンと2-プロパノールの反応速度はほぼ同じで、例えばRhCl(CO)(PMe_3)_2の場合、ヘプタンは80℃で535h^<-1>、2-プロパノールは82.4℃で546h^<-1>、PEt_3配位ではヘプタンは82℃で466h^<-1>、2-プロパノールは495h^<-1>、PPh_3配位ではヘプタンは136h^<-1>、2-プロパノールは143h^<-1>であった。H_2生成過程のような、反応基質に依らない素反応が律速段階と考えられる。実際、活性化エネルギーは配位子がPMe_3、PEt_3、PEt_2Phのとき19〜23kJmol^<-1>、PPh_3配位錯体では129〜131kJmol^<-1>と求められ、両基質間の差異はほとんどなかった。ジヒドリド配位中間体からの還元的脱離は子供イリジウム錯体では極めて困難で、光照射かアルケンへの水素移行が必要とされている。ロジウム錯体との対比において興味深いところである。なお、130kJmol^<-1>は脱水素反応のエンタルピー変化にほぼ匹敵する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Nomura: J.Chem.Soc.Commun.1988. 161-162 (1988)
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[Publications] K.Nomura: J.Molec.Catal.
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[Publications] K.Nomura: J.Molec.Catal.
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[Publications] 窪川裕: "光触媒" 朝倉書店, 117-177 (1988)