1989 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム錯体の光脱水素触媒作用によるアルキルC-H結合の活性化
Project/Area Number |
63550594
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 泰和 東京大学, 工学部, 教授 (10010761)
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Keywords | バスカ型ロジウム錯体 / 錯体の光触媒作用 / 配位不飽和活性種 / アルカン脱水素反応 / アルコ-ル脱水素反応 / ウィルキンソン錯体 |
Research Abstract |
光触媒反応は,光励起なしには反応が進行しない型と光の関与が反応を有利にする型とに分けられる。後者は反応に伴なうギブス自由エネルギ-変化が負の場合にのみ実現する。 バスカ型ロジウム錯体RhCl(O)(PR_3)_2のアルカンからアルケンと水素を生成する光触媒作用は,CO配位子を光脱離するMLCT帯照射で1次の光強度依存性を示すことから,配位不飽和種RhCl(PR_3)_2が脱水素反応を進行させ,それ以外に光の関与はないと結論された。類似の錯体であるRhCl(CS)(PR_3)_2は339nmと455nmにMLCT帯があり,長波長側の455nm吸収帯に光照射してもCS配位子の脱離はなく脱水素活性も現われないのに対して,短波長側の339nm吸収帯を光照射すると,シクロヘキサンはシクロヘキセンと水素になり,同時に錯体が少しずつ分解していくことがわかった。配位子光脱離で生じるRhCl(PPh_3)_2種がSC分子の再配位なしに壊れていくなら,反応サイクルを約8タ-ンまわしてからということになる。一方,バスカ型ロジウム錯体によるシクロヘキサン脱水素活性のホスフィン配位子依存性は,THFを添加すると,THF脱水素のそれと同じ依存性に変わることから,いったん生成したTHF配位RhCl(PR_3)_2種がシクロヘキサンと配位交換したのち,その脱水素反応サイクルをまわすと考えられる。シクロヘキサンに2-プロパノ-ルを添加した場合も同じなので,励起状態でなく基底状態にある配位不飽和活性種RhCl(PR_3)_2種でアルカン光脱水素触媒反応が進行するものなら,ウィルキンソン錯体RhCl(PR_3)_3のアルカン溶液それ自体で脱水素反応が進んでよいことになる。それが事実であることを,平成元年度,世界で初めて,RhCl(PPh_3)_3およびRhCl(P(p-tolyl)_3)_3のシクロオクタン溶液に沸騰還流条件を課すことで確認した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Nomura: "Alkene and Dihydrogen Formation by Catalytic Dehydrogenation of Alkane with RhCl(PR_3)_2 Photogenerated from RhCl(CO)(PR_3)_2" J.Molec.Catal.54. 57-64 (1989)
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[Publications] T.Fujii: "Thermocatalytic Formation of Molecular Hydrogen and Cyclo-octene from Cyclo-octane by Rhodium Complexes" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.(1990)
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[Publications] K.Nomura: "Photocatalytic Dehydrogenation of 2-Propanol with Carbonyl(Halogeno)Phosphine-Rhodium Complexes" J.Molec.Catal.52. 99-111 (1989)
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[Publications] X.Li: "Photocatalytic Liquid-Phase Dehydrogenation of Cyclohexanol with Rhodium Porphyrin Complex" J.Molec.Catal.49. 113-119 (1989)
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[Publications] K.Nomura: "Photocatalytic Dehydrogenation of Methanol with Tin(II)-Coordinated Iridium Complexes" J.Molec.Catal.50. 303-313 (1989)