1988 Fiscal Year Annual Research Report
電極反応活性種の吸着を伴う電極反応の解析に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63550597
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳田 耕一 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (40016548)
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Keywords | 吸着種の電極反応 / 分子間相互作用 / 電流一電位曲線 |
Research Abstract |
ほとんどの有機化合物の電極反応は吸着現象を伴うため、電流一電位(I-E)曲線は複雑な形状をしばしば示し、その定量的解釈を困難にしている。吸着種を含む反応のうちで単純な系と考えられる、吸着分子の1電子レドックス反応についても、吸着分子間の相互作用によって、非常に鋭いピークや、二つのピークを有するI-E曲線が生じる可能性が、先の理論的取り扱いから予測された。このような現象を示す一つの典型的な例として、1-ドデシル-1^1-メチルビオロゲンの水銀滴電極における吸着種の電極反応を検討した結果、水銀滴の生成後の時間の経過に伴い、I-E曲線の形状が変化するがやがて安定な形に落ち着くこと、これは吸着種の配向変化に基づくと考えられ、共存するアニオン種で特異吸着種性の強いものほど早く安定な形状を示すことが明らかになった。このI-E曲線は、先の理論式を用いてシミュレーションできることが判明したが、完全な一致は見られず、分子間相互作用に関して理論にまだ含められていない因子がある可能性を示しており、現在検討中である。同時に、ジアルキル(炭素数1〜7)ビオロゲン類の吸着波についても調べているが、吸着種の安定性について未だ不明な点があり、データの集積を進めている、購入備品の電位走査装置、インターフェイスはサイクリック及びACボルタンメトリーの測定に、またパーソナルコンピュータはデータの集積及び理論式によるI-E曲線の解析に用いている。二段階の1電子移動を含む吸着種のI-E曲線の理論的取り扱いも一部進めており、次年度には完成する予定である。
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