1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550610
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 則雄 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (70128099)
|
Keywords | プロン導電体 / 固体電解質 / アンチモン酸 / 化学センサ / 常温作動型センサ / ガスセンサ |
Research Abstract |
固体電解質の一種であるプロトン導電体は固体でありながら水素イオンだけを導電キャリアとする特性を有している。この特性を生かせば、従来の電解質溶液(酸水溶液)にとってかわる新しい機能性材料としての応用が可能である。特に、化学センサにおいてプロトン導電体を用いることにより、保守性の悪い電解質溶液を必要としない全固体型センサ素子が作製でき、コードレス化、小型インテリジェント化が可能な新しい化学センサが開発できる。そこで本研究では、安定で高いイオン導電性を示す優れたプロトン導電体の探索や導電機構の解明を進めるとともに、プロトン導電体を用いた新しいタイプの常温作動型化学センサの開発を行うことを目指した。 1)高プロトン導電体の探索については、無機イオン交換体である種々の含水酸化物、リン酸塩等について調べたところ、含水量が多く、イオン交換能が高いものはプロトン導電性が高い傾向にあるが、化学的、熱的安定性に欠けるものが多かった。アンチモン酸やリン酸アンチモンについては熱的安定性に比較的優れていたため、そのプロトン導電機構について複素インピーダンス解析や水の吸脱着等温線測定による詳しい検討を行った。その結果、導電機構が含水量によりホッピング伝導機構からグロチウス伝導機構へと変化することを見出した。 2)新しい化学センサの開発については、被検ガス種はH_2、CO、NH_3、O_2および湿度について検討を加え、プロトン導電体センサがいずれのガスも良好に検知できることを見出した。さらに、素子のマイクロ化を企てるために計画した薄膜、厚膜素子の作製については、湿式プロセスであるスピンコーティング法などを用いれば良好な応答特性を示す厚膜型素子が作製できることを見出した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] N. Miura.: Jpn. J. Appl. Phys.27. 931-933 (1988)
-
[Publications] S. Kuwata.: Chemistry Letters. 1988. 1197-1200 (1988)
-
[Publications] N. Miura.: Chemical Sensor Technology. 1. 123-139 (1988)
-
[Publications] N. Miura.: Solid State Ionics. 27. 175-179 (1988)
-
[Publications] 三浦則雄: 日本化学会誌. 1988. 1954-1959 (1988)