1989 Fiscal Year Annual Research Report
大環状金属錯体-固体下方配位子複合系薄膜の調製と機能
Project/Area Number |
63550611
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤津 博 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (00038605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 静夫 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (10038581)
坂西 欣也 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (60183365)
光来 要三 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (50122693)
持田 勲 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (20037758)
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Keywords | 大環状金属錯体 / 固体下方配位子 / 可溶性フタロシアニン / NO分解反応 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果に基づき、有機溶媒に可溶なコバルトフタロシアニン類を合成し、固体下方配位子との電子的相互作用ならびにそれに帰因する一酸化窒素分解活性に主点を置き検討を行った。上記フタロシアニンとしてテトラプロポキシフタロシアニンコバルトを用いた場合、酸化チタンとの複合系のみが、200℃での真空排気処理により、強い相互作用に基づく後者から前者への電子移動を示し、錯体のアニオンラジカルを形成した。他の下方配位子である酸化スズあるいは炭素薄膜については、このような強い相互作用は認められず、一酸化窒素、一酸化炭素に対する吸着あるいは活性化能力の増大は認められなかった。テトラプロポキシフタロシアニン一酸化チタン複合系は、一酸化窒素に対する吸着活性化能が高いことから、実排ガス濃度レベルの一酸化窒素に対する分解反応活性を調べた結果、150℃で安定した定常活性を示し、接触分解活性を有することを見出した。同反応における生成物は窒素と酸素のみであり、錯体の酸化による二酸化炭素発生も全く認められなかった。さらに、酸素を5%混入させても定常活性に変化はなく、わずかに錯体の酸素による酸化が認められたのみであった。一酸化窒素は、アニオンラジカルとなった錯体により解離吸着され、窒素を生成し、酸素は一旦酸化チタン上に捕捉された後放出されることが明らかになった。このような低温での一酸化窒素接触分解の報告はこれ迄全くなく、極めて興味深い系である。一方、フタロシアニンの置換基をプロポキシ基より嵩高くすると、酸化チタンとの相互作用が弱くなり、相互作用に錯体と酸化チタン表面との距離が重要であることも明らかにした。今後、フタロシアニンの熱ならびに対酸素安定性を賦与することが一層の展開を図る上で重要と考え、フッ素置換基の導入を計画している。
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Research Products
(1 results)