1988 Fiscal Year Annual Research Report
高原子価ルテニウム錯体の合成と、アルカンの酸化反応への応用
Project/Area Number |
63550618
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 寛修 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (30106629)
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Keywords | ルテニウム / ヒドリド錯体 / C-H結合活性化 / ビニル錯体 / η┣D14ベンゼン錯体 |
Research Abstract |
本年度は、表記の研究課題を達成するための第1段階として、金属-金属三重結合を有する二核のルテニウムテトラヒドリド錯体を合成・単離し、その反応性の検討を通じ以下に記す成果を得た。 (1)テトラヒドリド架橋構造を有する二核のルテニウム錯体の合成 ルテニウム3価錯体〔(C_5Me_5RuCl_2〕┣D22とLiAlH┣D24┫D2またはNaBH┣D24┫D2との反応により、ルテニウム原子間に三重結合を有する二核の四重架橋ヒドリド錯体〔(C┣D25┫D2Me┣D25┫D2)RuH┣D22┫D2〕┣D22┫D2を合成し、X線構造解析によりその分子構造を明かにした。 (2)エチレンのC-H結合性化 上記のルテニウムテトラヒドリド錯体とエチレンの反応では、エチレンのC-H結合の活性化切断が起こり、その結果、二核のジビニル錯体が生成する。ジビニル錯体を単離し、その構造を明らかにするとともに反応性について検討した。 (3)P-C結合の活性化 ルデニウムテトラヒドリド錯体とトリフェニルホスフィンの反応は、室温下で進行し、P-C結合の切断が起こる。その結果、架橋ホスフィド配位子を持つ二核のη^4-ベンゼン錯体が得られた。X線構造解析により、分子構造を明らかにすると同時に、反応性についても検討した。 (4)μ_3-アルキリダイン錯体の合成 ルテニウムテトラヒドリド錯体と四塩化炭素、クロロホルム、1、1、1-トリクロルエタンとの反応ではC-Cl結合の切断が起こり、比較的高収率で、μ_3-アルキリダイン錯体が得られることを見い出した。
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[Publications] H.Suzuki;H.Omori;D.H.Lee;Y.Yoshida;Y.Moro-oka: Organometallics. 7. 2243-2245 (1988)
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[Publications] H.Suzuki;H.Omori;Y.Moro-oka: Organometallics. 7. 2579-2581 (1988)
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[Publications] H Omori;H.Suzuki;Y.Moro-oka: Organometallics.