1988 Fiscal Year Annual Research Report
有機モリブデンおよびタングステンを用いる二酸化炭素の光固定プロセスの開発
Project/Area Number |
63550640
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
伊藤 卓 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (50016721)
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Keywords | モリブデン / ヒドリド錯体 / 二酸化炭素 / 炭酸ガス / 光反応 / 三級ホスフィン / 有機金属 / カルボキシラト錯体 |
Research Abstract |
1.有機モリブデン錯体の合成と二酸化炭素との反応: 本年度は、さきに我々が見いだした三級ホスフィンの配位したヒドリドモリブデン錯体、〔MoH_4(dpe)_2〕1(dpe=Ph_2PCH_2CH_2PPh_2)と二酸化炭素との光照射下での反応につき、そこで生成する二酸化炭素の挿入生成物であるヒドリドホルマト錯体〔MoH(O[_2CH)(dpe)_<2]>〕2の収率の向上を目指して種々反応条件の検討を行った。その結果、反応を窒素などの不活性雰囲気下で二酸化炭素を反応溶液に流通させながら行うと収率が67%まで向上することが見いだされた。また、関連するモリブデンのヒドリドカルボキシラト及びカルボナト錯体が、1と種々のカルボン酸アリルエステル、アリル炭酸エステル等との光照射下での反応で得られた。 さらに、シクロペンダジエニル環をもつモリブデン錯体Cp_2MoH_23とカルボン酸との反応を有機カルボニル化合物の存在下で行ったところ、種々のカルボキシラト誘導体が得られた。 2.二酸化炭素関連錯体の同定と化学的性質の解明 (1)上で合成されたヒドリドホルマト錯体2とそれに関連する種々のカルボキシラト錯体、カルボナト錯体のキュラクタリゼーションがIR、NMRなどのスペクトル的手段によって厳密に行われ、いずれも基本的に二つの酸素と二つのリン、それにヒドリド配位子を低面にもつ五角両錘構造の7配位錯体であることが示された。さらに、カルボナト錯体については結晶のX線構造解析がなされ、予備的な結果ながら上記の溶液中での構造が支持された。 (2)ホルマト錯体2をテトラヒドロフラン中、室温で錯体に対して10倍モルの塩化水素ガスと混合し、16時間反応されると定量的にギ酸が生成することが見いだされ、今後1触媒反応化への手がかりが得られた。
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Research Products
(1 results)