1988 Fiscal Year Annual Research Report
有機マンガン化合物を用いる新しい有機合成反応の開拓
Project/Area Number |
63550643
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学部, 助教授 (00111922)
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Keywords | マンガンアート錯体 / アセチレン / エノールリン酸エステル / エノールトリフラート / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の計画(1)〜(3)に従い研究を行い次のような成果を得た。 1.マンガンのアート錯体とアセチレン類との反応について検討した。その結果3当量のアルキルリチウムとヨウ化マンガンから調製したトリアルキルマンガナートがアセチレン類と反応してジアルキル化体が得られることが明らかとなった。しかしながらその収率は高々45%でまだ改良の余地がある。この点については現在も検討中である。一方シリルリチウムと塩化マンガンから調製したシリルマンガナートをアセチレン類に反応させると収率よくジシリル体が得られる。またシリルマンガナートを共役ジエンに反応させるとアリルマンガン種が生成しこのものにカルボニル化合物を加えるとδ位に水酸基を有するビニルシラン誘導体を位置及び立体選択的に得ることができることを見いだした(研究発表1)。 2.トリアルキルマンガナートによるエノールのリン酸エステルやエノールのトリフラートのアルキル化について検討した。エノールのリン酸エステルに対して零価のパラジウム触媒存在下にトリアルキルマンガナートを反応させるとカップリング体が収率よく得られることがわかった。さらにエノールのトリフラートを基質とした場合にはパラジウム触媒なしで反応が進行し対応するアルキル化体が収率よく得られる(研究発表2)。 3.過マンガン酸カリウムや二酸化マンガンを触媒量用い、これに種々の酸化剤を組合せて、アリルアルコールをα,β不飽和カルボニル化合物に酸化する反応を検討した。その結果マンガン塩ではうまく反応が進行せずクロムやルテニウム塩を触媒とした方がよい事が明らかとなった。ピリジニウムジクロマートを触媒としビストリメチルシリルペルオキシドを酸化剤として用いるとアルコールの酸化が収率よく進行することを見いだした。さらにRuCl_2(PPh_3)_3ーMe_3SiOOSiMe_3系を用いてアリルアルコールを選択的にα、β不飽和カルボニル化合物に変換できた(研究発表3)。
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[Publications] K.Fugami;J.Hibino;S.Matsubara;S.Nakatsukasa;K.Oshima;K.Utimoto;H.Nozaki: Tetrahedron. 44. 4277-4292 (1988)
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[Publications] S.Kanemoto;S.Matsubara;K.Takai;K.Oshima;K.Utimoto;H.Nozaki: Bull.Chem.Soc.Japan. 61. 3607-3612 (1988)