1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550651
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤原 祐三 九州大学, 工学部, 助教授 (10029481)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯村 計明 九州大学, 工学部, 講師 (80037887)
|
Keywords | サマリウム金属によるアゾキシ化合物の合成 / ハロゲン置換アゾキシ化合物の合成 / ベンゾシンノリンの合成 / ニトロ化合物の脱酸素2量化 / イッテルビウム金属による非対称ピナコールの合成 / 希土類金属を用いる有機合成 |
Research Abstract |
本年度は当初の計画どおり順調に研究が展開した。すなわち、希土類金属のもつ強い還元力を利用して、1.ニトロ化合物よりアゾキシ化合物の合成反応および2.カルボニル化合物より非対称ジオール類の合成反応について研究を進め満足すべき成果を得ることができた。 1.サマリウム金属によるニトロ化合物よりアゾキシ化合物の選択的合成。 サマリウム金属/THF/MeOH系により室温で、P-メチルニトロベンゼン、P-メトキシニトロベンゼン、P-クロロニトロベンゼン、P-ブロモニトロベンゼン、P-ヨードニトロベンゼン、P-シアノニトロベンゼン、P-アセチルニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物が脱酸素二量化して相当するアゾキシ化合物を選択的に与える新反応の開発に成功した。本反応の特長の一つはベンゼン環上のBr、Cl、I、カルボニル基等の官能基は反応の影響を受けないで、これらの置換基のついたアゾキシ化合物が得られる点で、従来のMgやAlを用いる方法ではこれらの置換基が反応してしまい除去される。さらに、アルキル基の置換したニトロベンゼンの場合従来の方法(N_aORによる)だと重合物が得られアゾキシ化合物の収率は低かったが本反応ではこのような副反応は全く認められず、いずれも高収率でアゾキシ化合物が得られる。また、本反応を2,2′-ジニトロビフェニルに適用するとベンゾ〔C〕シンノリンとそのN-オキシドが一段階で合成できることも明らかになった。 2.イッテルビウム金属によるカルボニル化合物より非対称ジオール類の合成。 ベンゾフェノンとイッテルビウムの反応から生成するメタラオキシラン中間体にアセトン、2-オタタノン等のケトンを反応させることにより相当する非対称ケトンを収率よく合成することができた。さらに、種々のケトンを用いて反応を検討中である。以上の新反応は希土類金属それ自身を用い、操作も簡単であり極めて有用である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 侯召民: J. Chem. Soc., Chem. Commun.668-670 (1988)
-
[Publications] 侯召民: J. Org. Chem.53. 3118-3120 (1988)