1988 Fiscal Year Annual Research Report
酵素固定化バイポーラー膜におけるイオンと電子の輸送
Project/Area Number |
63550660
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷岡 昭彦 東京工業大学, 工学部有機材料工学科, 助教授 (10092561)
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Keywords | 酵素固定化 / バイポーラー膜 / カップリング / 荷電膜 / アニオン交換膜 / カチオン交換膜 / ウレア / アレアーゼ |
Research Abstract |
本研究は酵素を固定化したバイポーラー膜におけるイオンや電子の輸送メカニズムの検討を目的とした。モデルシステムとしてのウレアーゼ-イオン交換膜を使用する。本系においては尿素の分解反応と反応生成物の輸送のカッフリングが生じることがすでに我々の研究室で明らかにされている。これは荷電膜における1-2価イオン混合系におけるイオンの輸送の問題としてとらえることができる。これらの研究を通じてまずバイポーラー膜の基本的特性についてさらに明らかにする必要性が生じた。そこでまずバイポーラー膜における1価及び2価イオンの輸送について検討することにした。研究は次の順序で行なった。 1)アニオン及びカチオン交換膜における1価及び2イオンの輸送、また1-2価混合イオン系のそれぞれのイオンの輸送について、従来のネルンスト-プランク式とドナン平衡式に基づき理論的予測を行なった。 2)本研究補助金により購入したイオンクロマトグラフィーにより、イオン交換膜を透過したカチオン及びアニオンの濃度の時間変化を測定し透過係数を求めた。 3)1-2価混合イオン系において、アニオン交換膜における2価のアニオン、カチオン交換膜における2価のカチオンは膜の荷電密度が増加すると共に、濃度の低い方から高い方へ輸送されることが明らかとなった。 4)1)2)3)の結果をふまえてバイポーラー膜における1-2価混合イオン系におけるそれぞれのイオンの輸送に関して実験的、理論的検討をおこなった。その結果2価のイオンが著じるしく排除されることが明らかとなった。 さらに次年度は上記の1-2価イオンの輸送の結果をふまえて、酵素を固定化したバイポーラー膜における反応と反応生成物の輸送のカップリングに関して、ウレア-ウレアーゼ系を中心に検討する。
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