1988 Fiscal Year Annual Research Report
ポリペプチドのヘリックス安定性とヘリックスセンスの転移挙動に関する研究
Project/Area Number |
63550663
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (70016591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (60135407)
滝沢 章 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90016262)
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Keywords | ポリペプチド / ヘリックス安定性 / ヘリックスセンス / αヘリックス / CD / ポリグルタミン酸エステル / ポリアスパラギン酸エステル |
Research Abstract |
ポリペプチド固体は通常分子内水素結合の形成により剛直なヘリックスを形成することが知られている。しかしポリアスパラギン酸エステルは主鎖と側鎖間の競争的水素結合形成のため、不安定なヘリックスとなり、逆のヘリックスセンスとなっている。このような状況に鑑み、本研究課題では鎖長の異なるアルキル基を有するポリアスパラギン酸エステルのヘリックス安定性とヘリックスセンスの転移挙動を円二色性スペクトルにより明らかにし、側鎖一主鎖間及び側鎖間の相互作用によって解明することを目的とする。安定なヘリックスと言われているポリグルタミン酸エステルの側鎖部分に長鎖アルキル基を導入し、ヘリックス安定性に及ぼす側鎖間相互作用の本質をさらに明らかにしたい。 本研究課題を達成するために、種々のアルキル基置換度の異なるポリアスパラギン酸エステル、ポリグルタミン酸エステルを合成し、高分解能NMRを用いて置換度を決定した。ヘリックス溶媒中における各試料並びに固体試料の円二色性(CD)スペクトルの測定によるヘリックス安定性、ヘリックスセンスの転移挙動(組成・温度依存性)の検討した。 炭素数の比較的少ないアルキル鎖から成るポリグルタミン酸エステルは溶液・固体状態とともにヘリックスが安定であり、ヘリックスセンスの転移は起こらないが、ポリアスパラギン酸エステルの場合はポリアスパラギン酸ベンジルエステルの左巻きのヘリックスがメチルエステルを除きアルキル基が増えるに従い右巻きへセンスの転移が生じる。また左巻きの低い置換度のポリアスパラギン酸エステルは温度とともに右巻きへヘリックスセンスの逆転が起こり、微妙な側鎖間相互作用の違いがヘリックスセンスに影響を及ぼすことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)