1988 Fiscal Year Annual Research Report
濃厚な固体分散系の流動挙動の計算機シミュレーション
Project/Area Number |
63550670
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
土井 正男 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70087104)
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Keywords | コロイド / 計算機シミュレーション / 濃厚コロイド系 / レオロジー / ゲル化 |
Research Abstract |
二次元、及び三次元系について、研究実施計画に記した計算機シミュレーションをおこない、以下の結果を得た。 (i)完全に分散したコロイド系にすりを加えると、粘度はS字形を描いて増加し定常値に達する。定常値に至る時間は、ずり速度、濃度に逆比例する。このようなふるまいは、ツリカコロイドなどの実際の糸でも観測されており、我々のモデルが現実の系の良いモデルになっていることを示している。更にシミュレーションのデータの解折により、この事実がゲル化理論を用いて説明できることがわかった。 (ii)定常ずり流動における凝集体の構造は、低濃度では、最密充填に近いコンパクトな構造であるが、高濃度では乱れの多いルーズな構造となり、更に濃度を上げると無限に大きな網目となる。構造の上にこのような顕著な変化があるにもかかわらず、粘度のずり速度依存性には、濃度の変化と伴に大きな変化が認められなかった。この事は、凝集コロイド系の粘度を決めている本質的な構造パラメータは、凝集体の大きさそのものではなく、より小さな流動単位であることを示唆している。 これらの結果は、高分子学会年会、高分子討論会、レオロジー討論会ZUPAC-MACRO.及びその他の研究集会で発表した。又、2つの論文としてまとめ、J.Chem.Phys.に投稿した。(内一編は現在印刷中)。 シミュレーションの結果、"凝集構造"のイメージが明確になり、理論的に取り組むべき問題が蘇明になった。今後の課題は、"流動単位"というものをいかにして実証するか、又その性質を理論の上にいかに取り込むかという2点である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Doi;D.Chen: J Chem.Phys.
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[Publications] D.Chem;M.Doi: J.Chem.Phys.
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[Publications] M.Doi;D.Chen: Proceeding of IUPAC MARCO,Kyoto,Aug(1988).
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[Publications] M.Doi;D.Chen;K.Saco: "Ordering and Organization in Ionic Solutions" World Scientific, 482-491 (1988)