1988 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー・フラッシュ・ホトリシス法によるラジカル重合速度の測定
Project/Area Number |
63550676
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 攻 東北大学, 非水溶液化学研究所, 助教授 (30006332)
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Keywords | ラジカル重合 / 反応速度 / フラッシュホトリシス |
Research Abstract |
ラジカル重合反応の成長反応速度を測定するための試みに必要なレーザー・フラッシュ・ホトリシス装置の組立と特殊光化学反応セルの組立てを行った。単発のレーザー・パルスで発生する極希薄濃度のラジカルの時間変化および比較的濃いモノマー濃度の微小変化の追跡に必要なデーター処理のためのコンピュータープログラムの開発も行った。次に当研究目的と測定装置に最適なラジカル重合反応系を探索するために、数種類の光増感ラジカル重合系の基礎的研究を本装置及びキノセンフラッシュホトリシス法を組合わせて行った。ジスルフィド(PS-RS)の光分解から発生するチイルラジカル(RS)と付加反応性の高いジェン類との反応速度定数及びジェン系ゴム溶液中での硫黄中心ラジカルの挙動に対する置換基の電子的影響と立体的影響についての知見を得て報告した。同様に芳香族ビニルモノマーや二置換オレフィン(Capto-dative Dletins)へのチイルラジカルの反応性についても研究し報告した。チイルラジカルの場合はビニルモノマーへの付加反応が可逆的であるので、生成したビニルモノマー由来の炭素ラジカルが過剰のビニルモノマーと反応してチイルラジカルの時間的減衰を速めていることから成長速度定数が求まる可能性があることが分かったので目下検討中である。これまでの研究結果からビニルモノマー濃度の時間的減衰を直接追跡可能な反応系の条件としては、成長速度が速くかつビニルモノマーの吸収帯がラジカル及びラジカル源の吸収帯と重らないことが必要であるため、新たにラジカル源の開発を余儀なくされている。そこで、反応性の高いNo.3の有機溶媒中での発生と追跡に本装置を用いて成功し、ビニルモノマーをはじめ水素引抜き反応や電子移動反応の速度定数を求めて報告することが出来た。さらに、新たなラジカル源氏の探索と最適ビニルモノマーの選択を重ねて最終目的である成長反応速度の直接測定法を追究したい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] O.Ito,S.Tamura,M.Matsuda,K.Murakami: Jurnal of Organic Chemistry. 53. 4758-4762 (1988)
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[Publications] O.Ito,S.Tamura,M.Matsuda,K.Murakami: Jurnal of Polymer Science; Part A; Polymer Chemistry. 26. 1429-1438 (1988)
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[Publications] O.Ito,Y.Arito,M.Matsuda,: Jurnal of Chemical Society,Perkin Transaction,2. 1988. (869-873)
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[Publications] H.Yoshizawa,O.Ito,M.Matsuda,: British Polymer Jouranl. 20. 441-447 (1988)
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[Publications] O.Ito,S.Akiho,M.Iino: Jurnal of Physical Chemistry. 93. (1989)