1989 Fiscal Year Annual Research Report
新規多機能性ビオロゲン誘導体の合成と材料化に関する研究
Project/Area Number |
63550679
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 剛 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (40016738)
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Keywords | 多機能性 / ビオロゲン / ジヒドロニコチンアミド / クラウンエ-テル / アゾベンゼン / ベンゾフェノン / 電荷移動錯体 / 分子内電子リレ- |
Research Abstract |
新しい電子伝達系の設計と応用の一環として、先ず前年度に加えて多機能性ビオロゲン誘導体として、ニコチンアミドあるいはベンゾクラウンエ-テル構造をもつビオロゲン誘導体を合成した。前者の誘導体では、分子間に比べ高い効率で光励起電子リレ-か認められた。後者では含水溶媒中での亜二チオン酸Naによるビオロゲンの還元において、クラウンエ-テルへの還元剤の取り込みにより、還元速度が上昇した。さらにこれまでに見出した種々の機能団を持つ多機能性ビオロゲン誘導体で特異な分子内電子移動が見られた知見に基づいて、その高分子化を検討した。まず新規ビニルモノマ-、ビニルアゾベンゼンを合成し、ビニルビオロゲンとの共重合により、両構造が隣接し、しかもポリ-マ主鎖に直結した高分子を合成し、電子リレ-を検討した結果、分子間および低分子モデルに比べて、高い効率で、ヒドラゾ体からビオロゲンへの分子内電子移動が進行した。つぎに、パラ位に電子供与基(メチル基)を持つビニルベンゾフェノンとビニンビオロゲンとの共重合の際、両モノマ-間で電荷移動錯体を形成し、交互共重合性の高いコポリマ-が得られることを見い出した。このようなポリマ-で両官能基間の相互作用に基づき、分子間ではみられず、しかもモデル化合物より効率よく有機溶媒中でのベンゾフェノンを増感剤とするビオロゲンの光還元が進行することを見いだした。さらに、ジヒドロニコチンアミド構造およびビオロゲン構造を持つ共重合体において、両構造間で電荷移動錯体の形成が認められ、低分子モデルでは認められない分子内電子リレ-が進行した。多機能性ビオロゲンのの高分子誘導体で、官能基間の相互作用が低分子に比べ増大すること、高分子場という特異な反応場におかれることにより、低分子あるいは分子間ではみられない種々の新しい酸化還元挙動が新たに見いだされた等材料化につなかる知見が得られた。
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[Publications] Kazunori Ishikawa: "Electron Transport Membrane:Preparation of Polypeptide Membrane with Spacers Between the Polymer Matrix and Viologen Moiety and Their Applycation to an Electron Transrer Reaction" J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.27. 1625-1629 (1989)
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[Publications] Toshihiko Sato: "Incorporation of Viologen Moiety as Redox Function into Hydroxypropyl Cellulose" J.Polym.Sci.,Polym.Lett.Ed.28. 289-292 (1989)
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[Publications] Yoko Nambu: "First Observation of an Intramolecular Charge Transfer and Electron Relay between the Viologen and Ester Groups in a New Copolymer System" Macromolecules. 22. 3530-3532 (1989)
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[Publications] Yoko Nambu: "Unusual Photoreduction of Viologen by Dimethl Sufoxide on a New Polymer Having Direct Pendants of Viologen and Benzophenone" Tetrahedron Lett.31. 891-894 (1990)
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[Publications] Naoya Kitamura: "Synthesis and Radical Copolymerization of a New Type Pyridinium Monomer and Redox Behavior of Its Polymers" J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.
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[Publications] Naoya Kitamura: "Redox Behvior of Pyridinium Salts and Their Polymers Having Radical Stabilizing Groups" J.Polym.Sci.,Poly.Chem.Ed.