1988 Fiscal Year Annual Research Report
イオウを含有する新しいポリアセチレンの設計、合成および特性の解明
Project/Area Number |
63550686
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 俊夫 京都大学, 工学部, 助教授 (60026276)
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Keywords | 置換ポリアセチレン / イオウ含有ポリマー / 1ーヘキシルチオー1ープロピン / 高分子合成 / 遷移金属触媒 / 分子設計 / 機能性高分子 |
Research Abstract |
本研究は、特異な性質を示すことが期待されるイオウを含有するポリアセチレンの分子設計、高重合体の合成方法の開発、生成ポリマーの特性の解明などを目的とする。本研究の63年度の成果は以下のように要約される。 モノマーとして1ーヘキシルチオー1ープロピン(MeC〓CーSーnC_6H_<13>)を用い、重合を検討したところ、MoCl_5ーPh_3SiH(1:1)混合物を触媒として60%の収率で重量平均分子量(M_ω)約11万のポリマーが生成することを見いだした。従来、イオウを含有するアセチレンとしてはチオフェン誘導体からM_ωが高々2万程度のポリマーしか得られていない。本研究のモノマーはイオウがC〓Cに隣接しているため塩基性が弱められ、高重合体が生成したものと考えられる。 種々の重合条件について検討した。その結果、遷移金属触媒としてはW化合物よりMo化合物の方が活性が高いことが判明した。共触媒としては種々の4、5族有機金属が有効であったが、Ph_3SiHが最も活性が大であった。重合は種々の炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびある種の含酸素溶媒中で進行した。 上記モノマーだけでなく、数種の同族体(MeC〓CSR;R=Et、nBu、nC_8H_<17>、nC_<10>H_<21>)の重合も試みた。いずれのモノマーの場合もM_ω11万〜17万のポリマーが60〜80%の良好な収率で生成した。 生成ポリマーはいずれも白色固体で、ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどに完全に可溶であった。キャスト法により丈夫な膜を得ることが可能であった。対応する脂肪族ポリアセチレンであるポリ(2ーアルキン)より熱的に安定であった。ポリマーの力学的性質はアルキルチオ基が長いほど柔らかくて伸びやすくなった。ポリマーの光分解性や気体透過性についても検討した。
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