1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550698
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今野 幹男 東北大学, 工学部, 助教授 (40125547)
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Keywords | 攪拌 / 液液系 / マイクロカプセル / エマルジョン / 滴径 / 分裂 / 合一 |
Research Abstract |
液液攪拌操作の適用は最近ではエマルジョンやマイクロカプセルの製造にも及んでいる。これらの操作では通常充分な量の界面活性剤を添加し、液滴同士に合一が生じない分散安定な微小液滴が攪拌により形成される。マイクロカプセルはこのエマルジョン表面に固体膜を形成させたものである。従ってこれら製品の物性がエマルジョンの滴径分布に規定されることは言うまでもない。従来より液液攪拌操作は抽出や異相系反応等の化学工業の単位操作として用いられており、滴径と操作条件に関する数々の相関式が報告されているが、それらの多くは液滴の分裂と合一が共存する条件下のものであり、さらには対象としている滴径が比較的大きく、分裂時に滴に作用する外力としては慣性力が支配的な場合を対象としたものである。そこで本研究では滴に合一の生じない条件下でミクロン単位の微小滴に至までの条件下で液液分散実験を行い、滴径分布の測定を行った。この結果滴径分布の形は何れの操作条件でも相似形であり、正規分布で近似されることがわかった。一万攪拌開始後の分散微粒化が完了した後の平均滴径と操作条件の関係を既存の相関式と比較した。その結果以前当研究質で分裂のみが存在する条件下でについて導出した相関式からの計算値と良好に一致することがわかった。ただし本相関式は滴に作用する外力としては慣性力が支配的な場合を対象としているが、一方乱流理論に基づくと本研究で行った滴径範囲の条件下では、外力としては慣性力と粘性力の両者が支配的と考えられる。この両者に矛盾のない説明は、低粘性滴の分裂条件についてのモデルを拡張することにより与えられる。それによると滴の周りでの速度と滴に作用する外力の両者が粘性の影響を受けるが、この両者が相殺するため見掛け上粘性の影響は殆ど現れない。従って今後この点を明確にするためには、さらに液粘性の影響を調べる実験を行う必要のあることがわかった。
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