1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550705
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中野 義夫 静岡大学, 工学部, 教授 (30092563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清田 佳美 静岡大学, 工学部, 助手 (60216504)
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Keywords | イオン性高分子ゲル / 膨潤・収縮現象 / pH / イオン交換 / 電解質 / ドナン平衝 / 電場 |
Research Abstract |
イオン性高分子ゲルの分離機能について解明するため、外的因子(外部溶液中の塩の種類、濃度、pH,電場等)とゲル内のイオン挙動およびゲルの動的な膨潤・収縮現象との関連性について実験、理論面から検討した。その結果、以下のことが明かとなった。 (1)pHと濃度の異なる電解質溶液中(HCl,NaOH,NaCl,MgCl_2)におけるアクリルアミド系共重合体ゲル(アクリルアミド/アクリル酸/トリメチルーNーアクリロイルー3ーアミノプロピルアンモニウムクロライド)の膨潤・収縮特性は、官能基(固定基)の解離、外部溶液中のイオンとの交換反応を考慮することにより説明できることが解った。また、ドナン平衝理論に基ずくモデル解析によりゲルの膨潤・収縮挙動におけるpH,塩の種類、濃度の影響や、ゲル内の各種イオンの濃度を定量的に把握することが出来た。 (2)外部刺激として電圧を印可したゲルの膨潤・収縮現象とゲル内外のイオン挙動を間隙水のpH分布、ゲル内のNa^+イオン濃度の分布および脱水速度の面から明らかにした。電場によるイオン性ゲルの収縮・脱水のメカニズムは以下の様である。すなわち、電圧印加による電極反応により陽極でH^+イオンが生成し、ゲル中のNa^+イオンとの間でイオン交換が起こる。この結果、ゲル内のpHは低下し、ゲルは収縮・脱水する。一方、電気泳動によりNa^+イオンは陰極側に移動して蓄積する。この結果、陰極側でイオン強度が増加する。(1)で明らかにしたドナン平衝理論に基ずく解析結果から、イオン強度の増加によりゲルは収縮・脱水する。以上のように、ゲルの電場による収縮・脱水現象は電極反応によるH^+イオンの生成およびNa^+イオンの電気泳動に依存していることが解った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中野 義夫: "高分子ゲルの吸湿特性" 高分子論文集. 46. 715-721 (1989)
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[Publications] Yoshio Nakano,Yoshimi Seida: "Behavior of lons within Hydrogel and Its Swelling Properties." J.Chem.Eng.Japan. 23. 574-579 (1990)
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[Publications] 中野 義夫: "高分子ゲルの化学プロセスへの応用" 高分子加工. 39. 314-318 (1990)
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[Publications] 清田 佳美、中野 義夫: "電場によるイオン性ヒドロゲルの収縮・脱水現象" 化学工学論文集. 16. 1279-1282 (1990)
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[Publications] 中野 義夫、木村 元彦: "高分子ゲルの伸縮挙動と力学的物性の相関性" 第3回高分子ゲル研究討論会講演要旨集. 35-36 (1990)
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[Publications] 中野 義夫、清田 佳美: "電場による非イオン性ゲル内の物質移動" 化学工学会第23回秋季大会講演要旨集. 172 (1991)