1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550709
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 義朗 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (30093371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 龍象 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (10025869)
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Keywords | 晶析 / ベナール対流 / 粒径分布の制御 / 粒子数と粒径分布の経時変化 / 粒子軌道 / セル状の熱対流 / 結晶の成長速度と溶解速度 |
Research Abstract |
結晶粒径を精密に制御できる晶析法を開発するためには、結晶粒子の運動や結晶の溶解・成長速度に及ぼす流れ場・温度場・濃度場の影響を正確に把握することが必要である。本年度はこれらの基礎データを得るために、結晶粒子の運動を考慮した晶析モデルを立てて計算機シュミレーションを行い、実測データとの比較検討を行って以下の結果を得た。 1.セル状の循環流を形成するベナール対流中に単一の結晶粒子を入れた場合について、結晶粒子の浮遊条件・粒子の循環軌道形と温度・濃度の操作条件および結晶の粒径・密度との関係を明らかにした。 2.種々の初期粒径をもつ結晶粒子が、ベナール対流中に一様に懸濁された場合について、その後の結晶粒子数と粒径分布の経時変化を計算機シュミレーションにより解析した。これより結晶粒子の平均粒径と標準偏差などの粒径分布の形状と残存粒子数に及ぼす温度・濃度などの操作条件や操作時間との関係を調べた。その結果、操作条件を適当に選ぶことによって、ある範囲内での粒径制御が可能となることが分った。 3.カリ明礬結晶の成長速度と溶解速度を実測し、得られた実験式を前述の計算モデルに使用した。またガウス分布に近い初期粒径分布をもつカリ明礬結晶をベナール対流中に懸濁させる実験を行い、種々の操作条件下での結晶粒子数と粒径分布の経時変化を実測した。得られた実験結果と計算機シュミレーションの結果を比較して、解析モデルの有効性を検討した。時間の短い所では、計算値は実測データを比較的良く表現できるが、十分時間が経つとモデルと実測値との差が大きくなる。これは解析モデルに二次核発生が考慮されていないことによるものと考えられ、今後さらに改良の余地がある。
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