1988 Fiscal Year Annual Research Report
キトサンイオン交換樹脂によるタンパク質のクロマト分離
Project/Area Number |
63550715
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉田 弘之 大阪府立大学, 工学部, 講師 (50081360)
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Keywords | キトサン / キチン / イオン交換樹脂 / タンパク質 / 牛血清アルブミン / クロマトグラフィ / 吸着 / 分離 |
Research Abstract |
キトサンイオン交換樹脂は、カニやエビの甲羅から抽出したキチンを脱アセチル化処理して得られるキトサンに陰イオン交換基を導入した全く新しい超多孔性イオン交換樹脂である。本研究では、このキトサン樹脂のタンパク質吸着分離剤としての適用の可能性について検討を加え、以下の知見を得た。1.強塩基性キトサンイオン交換樹脂によ牛血清アルブミン(BSA)の吸着平衡関係は、BSA初濃度の影響は受けない、pHの影響を顕著に受ける、食塩共存下では、食塩濃度の増加とともに、吸着量が減少し、0.2mol/dm^3でBSAは全く吸着しない等、市販のデキストラン系樹脂と類似した傾向を示した。2.弱塩基性キトサン樹脂におけるBSAの吸着平衡関係は、食塩共存下で特異な挙動を示した。すなわち、高濃度食塩中でも、pHの値に依らずタンパク質が高選択的に吸着された。このような挙動を示す市販の吸着剤は水酸化アパタイトのみで他に全く見られないため、弱塩基性キトサン樹脂は、濃厚食塩中からのタンパク質の分離に道を開く新しい樹脂と言える。3.BSAの粒内有効拡散係数は、BSAの低濃度域(0.3g/dm^3以下)では、デキストラン系樹脂と大差が見られなかったが、1g/dm^3以上では、デキストラン系樹脂の1/3〜1/8と小さくなった。4.吸脱着に伴う粒径変化は無視出来、カラムに充填しても圧密は起らず、デキストラン系樹脂に比べ取り扱いは非常に簡単である。以上の結果から、キトサン樹脂は、タンパク質吸着分離剤として適用可能である事が明らかとなった。 以上の内容は、化学工学協会第53年会(講演要旨集、P.236、1988)、第4回日本イオン交換研究発表会(講演要旨集、P.31&32、1988)、化学工学協会第21回秋期大会(講演要旨集、P.188、1988)および第2回日本吸着学会研究発表会(講演要旨集、P.60、1988)で発表した。また、上記2.の内容は、Biochemical Eng.J.に印刷中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hiroyuki Yoshida: THE BIOCHEMICAL ENGINEERING JOURNAL.
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[Publications] Hiroyuki Yoshida: BIOCHEMISTRY AND BIOENGINEERING.
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[Publications] Hiroyuki Yoshida: BIOCHEMISTRY AND BIOENGINEERING.
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[Publications] Hiroyuki Yoshida: IEC Research.