1988 Fiscal Year Annual Research Report
不均一酵素反応場への強力超音波照射による反応促進機構の解明とその定量化
Project/Area Number |
63550722
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
榊原 三樹男 福井大学, 工学部, 助教授 (90111773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
埜村 守 福井大学, 工学部, 助教授 (90020239)
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Keywords | 酵素反応 / 生物反応工学 / 超音波 / 反応速度 |
Research Abstract |
当初の研究目的の一部に関しては、ある程度の知見が得られている。たとえば、超音波制御部および振動子を含んだ反応部からなる反応装置の試作を行った結果、所期の性能を有する装置が作成できた。また、不均一系酵素反応場への超音波照射に先立って、均一系酵素反応場(インベルターゼによるスクロースの加水分解反応)への超音波照射実験を行い、その反応促進のメカニズムについて検討した結果、次に示すような興味深い結論が得られた。1.低濃度基質領域においては、超音波強度が増大するにつれて酵素一基質間の親和性が増大し、反応が促進されるという実験的結論が見い出された。2.高濃度基質領域においては、この反応系に特有な高濃度基質阻害を超音波によってある程度除去できることが明らかとなった。上記で述べたように、超音波照射下における音波のエネルギーと均一系酵素反応場における反応速度との相関関係については良好な結果が得られている。しかしながら、主たる目的である不均一系酵素反応場に関しての実験については、いまだよい結果を得ていない。この理由は、使用を予定していた酵素(Candida cylindracea起源のリパーゼ)が予期していたより不安定であったためである。すなわち、反応初期段階で酵素が変性し、失活してしまうためである。現在、この点を改善するために異なった起源からなる酵素を使用して本来の目的に向けて実験を実行中である。以上が本年度の研究実績の概要であるが、来年度は今回の実績を踏えて、より詳細な反応機構の解明を行う予定でいる。
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