1988 Fiscal Year Annual Research Report
Sprotrichum cellulophilumの生産するセルラーゼの多様性
Project/Area Number |
63550725
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 晋一 大阪大学, 工学部, 助教授 (50029253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 達治 大阪大学, 工学部, 助教授 (50029245)
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Keywords | セルラーゼ / セルラーゼの多様性 / モノクローナル抗体 / セルラーゼ間の類縁性 / セルラーゼの精製 / セルラーゼの修飾 |
Research Abstract |
Sporotrichum cellulophilumの培養液を限外漏過膜を用いて濃縮し、凍結乾燥した標品を出発材料として、ブチル・トーヨーパールによる疎水クロマトグラフィ、トーヨーパールHW55によるゲル漏過クロマトグラフィ、および調整用ポリアクリルミドゲル電気泳動により、3種のβ-グルコンダーゼと9種のセルラーゼを均一なタンパク成分として精製した。これとは別に4種のセルラーゼ標品を抗原としてマウスに免疫し、この脾臓細胞と、ミエローマ細胞と融合させたハイブリドーマー細胞より、57種のモノクローナル抗体を調整した。上記の精製酵素とモノクローナル抗体の反応性をELISA法で分析した結果、独立な反応特異性を示した抗体は9種で、これらの抗体により区別される酵素は3種のβ-グルコンダーゼ(a4、e11、f16)と6種のセルラーゼ(e2、f6、f29、k6、i7、m7)であった。a4は全ての抗体と反応しなかった事から他の酵素とは構造的に著しく異なると思われる。8種の酵素間における関連性を抗体との反応性から類似度を計算すると、ほぼ2つの系統に分けられる。f29-m6-i7-f16の間は類似性が高く、f29-i7とm6-f6もかなりの関連性がみられる、他の系統ではe2-k6は類似性が高く、e11はe2とk6とも関連性をもち、f29はf16とe2とk6とも関連性が高い。f29を中心として、二つの方向に修飾が進行したと思われる。今後糖を除去した酵素を抗原として同様な解析を行うつもりである。一方精製酵素のアミノ酸配列を部分的に決定したので、この配列にもとづき、DNAの塩基配列を推定し、オリゴDNAを合成した。これをプローグとしてS.cellulophilumのDNAにハイブリダイズさせて、このDNAをクローン化し、DNA塩基配列を調べ、セルラーゼ遺伝子を取得し、これよりcDNAを合成し、細菌または酵母に導入して、セルラーゼタンパク質の発現を試みるつもりである。
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