1988 Fiscal Year Annual Research Report
細胞融合および単離核の利用による細胞質雄性不稔の導入および維持系統の育成
Project/Area Number |
63560001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三位 正洋 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (30093074)
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Keywords | ニンジン / 細胞融合 / 雄性不稔 / 細胞質置換 / X線照射 / プロトプラスト / ポリエチレングリコール / 電気融合 |
Research Abstract |
ニンジンを材料に、X線照射とIOA(iodoacetamide)処理を応用した細胞融合法により、1)正常稔性系統への雄性不稔性細胞質の導入による雄性不稔個体の作出、2)細胞質雄性不稔系統への正常稔性細胞質の導入による可稔化個体の作出、さらに、3)雄性不稔系ニンジンへのセルリー細胞質の導入による異属間サイブリッドの作出、を目的にその基礎研究を行った。材料とした培養細胞由来プロトプラストの融合では、形成されるヘテロカリオンの識別が不可能であることから、プロトプラストに対して種々の生体染色を試みたところ、RhodamineBとFDAによる蛍光染色が有効であった。PEGによる融合法では、20%PEG4000で効率よく1:1で融合したヘテロカリオンが得られた。また電気融合法においてはプロトプラストの浮遊液の浸透圧の低下とCaCl_2の添加が融合を促進させた。X線照射条件を検討したところ、60KRでコロニーの形成は完全に阻害された。以上の条件をもとに目的の細胞質提供側にX線照射を、細胞質受容側にIOA処理を行って、PEGによる細胞融合を行った。いずれの組合わせにおいても、得られたコロニーから不定胚が得られ、その一部は現在植物体に再分化している。しかし、適用した60KRのX線照射や10mMのIOA処理を行った両プロトプラストを、それぞれ単独で融合した場合、CMS系プロトプラストにおいてコロニーが形成されたことから、本実検で得られた不定胚や植物体には多分にCMS系どうしの融合産物が含まれていると考えられる。この片親単独融合によるコロニー形成を抑制するためには、より強力な70KRや15mMの処理が必要であった。得られた植物体については、今後圃場での栽培を行って、諸形質の調査を行い、さらにミトコンドリアDNAの制限酵素切断パターンの分析などを行って、目的の細胞質が導入されたことを確認する必要がある。
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