1989 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞内の植物ホルモンの局在と再分化能に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
63560002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 薫 東京大学, 農学部, 助手 (70183994)
|
Keywords | 植物ホルモン / 免疫組織化学 / オオムギ / イネ / カルス / 再分化能 / 不定芽 / 不定根 |
Research Abstract |
前年度までにオオムギ種子根の根端由来カルスにおいて、不定根だけでなく不定芽の分化能をコントロ-ルできる系を確立するため、shoot形成用培地を各種検討したにもかかわらず、shoot形成能をもつカルスを形成させることはできなかった。そこで、本年度は材料をイネに変え、成熟種子(胚盤)由来のカルスを材料として、免疫組織化学的手法を適用するのにふさわしい不定芽分化の系を確立することを目指すとともに、不定根分化の系において前年度に引き続き電子顕微鏡用切片の作製法を検討した。 1.イネ種子胚由来カルスからの再分化系の確立 できる限り小さいカルスからの100%近い再分化率の実現を目指した。 (1)培養系の確立 品種日本晴と亀の尾を材料として、2種の継代間隔(3日と7日)と2種の培地(N_6とR_2)について検討したところ、増殖率やその後の再分化率の結果からR_2培地で3日毎に継代を行う液体振とう培養でカルスを育成するのが最もよいことがわかった。 (2)再分化法の検討 再分化の効率を上げるため、培地、培養法について検討した。液体培地でも固形培地でもサイトカイニンは4PUの方がkinetinにより不定芽分化に効果があった。固形培地では培地の凝固剤の濃度を高め、シャ-レのふたのシ-ルを一部開けて水分が徐々に蒸発する条件にするとカルスが乾燥して再分化率が高くなった。固形培地と異なり、液体培地では500μm以下の小さな細胞塊でもよく再分化することがわかった。 2.電子顕微鏡用切片の作製法の検討 Lowicryl樹脂が軟弱なため切片上にチャタリング(縞模様)が入りやすい。そこで、重合の強さやガラスナイフ作製法について検討中である。
|