1990 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞内の植物ホルモンの局在と再分化能に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
63560002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 薫 東京大学, 農学部, 助手 (70183994)
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Keywords | イネ / オオムギ / 再分化 / 植物ホルモン / 不定芽 / 不定胚 / 免疫組織化学 / カルス |
Research Abstract |
前年度までにイネ胚盤由来の培養細胞から高率で再分化する培養系を確立した。そこで、本年度は再分化培地を制御することにより不定芽分化と不定胚分化という二つの分化経路を自由に選択できるような再分化系の確立を目指すとともに、イネ培養細胞へ免疫組織化学的手法を適用して植物ホルモンの検出を目指した。 再分化培地に添加する各種ホルモンの種類や濃度を検討した結果、通常用いられるプリン核をもつkinetinの代わりにサイトカイニン作用の強いジフェニルウレア型サイトカイニンの一種4ーPUーCl(1ー(2ーchloroー4pyridyl)ー3ーphenylurea)を高濃度で用いると高率で不定芽分化が誘導されること、低濃度のkinetinとABAを組み合わせて培地に添加すると高率で不定胚分化が誘導されることがわかり、再分化培地のホルモン組成を制御することにより分化経路の選択が可能であることが明らかとなった。NAAは分化率を向上させ、褐変を抑制したが、分化経路に及ぼす影響はあまりはっきりしなかった。ただし、4ーPUーCl,ABAとともに用いると不定芽分化を抑制して不定胚分化を促進した。組織学的な観察結果から、不定芽分化と不定胚分化とは全く異なる発生を行っていることも明らかとなった。 上記培養系への免疫組織化学的手法を適用し、IAAとABAの検出を試みたところ、用いた市販の抗IAAおよび抗ABAモノクロ-ナル抗体によってはIAAもABAも検出できなかった。これは抗原のエピト-プ部位が細胞の固定処理によって変性をうけやすいためと考えられた。
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