1989 Fiscal Year Annual Research Report
Mutatorの利用によるイネの新育種システムの開発
Project/Area Number |
63560003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷坂 隆俊 京都大学, 農学部, 助教授 (80026591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥本 裕 京都大学, 農学部, 助手 (90152438)
山懸 弘忠 京都大学, 農学部, 教授 (40026373)
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Keywords | イネ / mutator / 突然変異 / 遺伝子分析 / 実用形質 |
Research Abstract |
1.Mutator誘発突然変異体の実用諸形質の評価:水稲品種銀坊主のγ線照射で誘発されたmutatorの作用により二次的に誘発された固定型出穂期突然変異系統(M群)及び銀坊主のγ線照射で得られた固定型出穂期突然変異系統(G群)の中から、両群間で出穂期の変異が同じになるように70系統ずつ選び、これら140系統を原品種銀坊主(24プロット)及び我が国新旧17品種(V群)とともに圃場で栽培して、収量を含む実用19形質を調査した。その結果、mutatorはγ線と同様出穂期だけでなく他の実用形質にも同時変異を誘発する場合が多いが、その変異の大きさおよび方向性はγ線の場合と異なり、長さで示される形質に関しては長い方向、数で示される形質に関しては少ない方向、重さで示される形質に関しては重い方向への変異が概して多いこと、また収量に関して原品種およびV群品種を上回る系統が多数あることが認められ、mutatorの利用による実用形質改良の際に留意すべき点が示された。2.変異遺伝子の分析:mutatorによって誘発された多数の出穂期並びに稈長突然変異系統と原品種並びに遺伝子型既知の検定系統との交雑F_2およびF_3を用いて変異遺伝子の分析を行ったところ、1遺伝子突然変異によるものが大半を占めるが、2〜3遺伝子突然変異も生じ得ること、また出穂期に関しては劣勢突然変異だけでなく優性突然変異も生じ、これらの突然変異遺伝子の中には既知の遺伝子とは座を異にするものが幾つかあること、などが明らかになった。3.mutatorの実用品種への導入:mutator保持系統と実用3品種(日本晴、フジミノリ、台中65号)間の交雑F_2においてmutatorを持つと考えられる細粒固体が8〜10%の頻度で出現し、銀坊主とは異なる遺伝的背景にもmutatorの導入が可能であると考えられた。
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Research Products
(2 results)