1988 Fiscal Year Annual Research Report
オオムギにおける分子・細胞マーカーの検索と遺伝解析
Project/Area Number |
63560004
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武田 和義 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (90003516)
|
Keywords | オオムギ / 分子・細胞マーカー / 葉緑体変異 / フェノール反応 / 蛍光反応 / 薬剤耐性 / 貯蔵デンプン |
Research Abstract |
本年度は当研究所が保有する約5000のオオムギ品種と、オオムギ品種ふじ二条に100KRのガンマー線を累代照射した約20000の穂系統を対象として、分子・細胞マーカーに利用可能な変異体を探索した。検索した形質は葉緑体変異、芒のフェノール反応、根端の蛍光反応、幼植物の各種薬剤耐性、貯蔵デンプン成分の変異などである。その結果(1)多くの葉緑体変異や伸長性などの人為突然変異体が得られ、その一部は交配実験に供した。 (2)芒のフェノール反応には顕著な品種変異が認められたので交配実験を開始した。芒のフェノール反応は穂系統によって多少異なったので、後代検定を行ったが、遺伝的変異とは認められないかった。 (3)保存品種の中には根端の蛍光反応に関して変異が認められなかったが、紫外線によって根端が紫色に発色する珍しい人為突然変異体が得られた。この形質は劣性1因子に支配されており、致死遺伝子と密接に連鎖しているか、多面発現する可能性が示された。 (4)有機燐剤に対する感受性の変異体が見出され、これは優性1因子に支配され、光合成電子伝達系の変異と関連している可能性が示された。 (5)貯蔵デンプンの特性にいわゆるShuranken型の人為突然変異が得られ、メタキセニアを示す劣性形質とみられた。 本年度は3年計画の初年目で、主として保存品種(約5000)とガンマー線照射後代穂系統(約20000穂系統)を対象とした変異形質の検索を行い、一部の材料は交配実験を始めた段階である。次年度以降、これらの遺伝解析、ならびに新たな変異形質の検索を行う予定である。
|