1988 Fiscal Year Annual Research Report
コムギ族遠縁間雑種植物の染色体安定行動に関する育種学的研究
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63560005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村松 幹夫 岡山大学, 農学部, 教授 (40033162)
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Keywords | イネ科コムギ族 / 遠縁交雑 / 染色体消失 / コムギ属 / オオムギ属 / カモジグサ属 / 多価染色体 / 染色体不安定性 |
Research Abstract |
遠縁関係にある種属間交配組合せによる雑種の染色体の安定と不安定行動の細胞遺伝学的、育種学的解明が目的であり、イネ科コムギ族において研究中である。不安定行動を示す交配組合せの探索のため、コムギ族でやや原始的であり、コムギ属とオオムギ属の中間に位置するカモジグサ属とエゾムギ属の植物をとりあげた。1.日本産カモジグサ属のカモジグサとアオカモジグサの数系統を用い、オオムギ属、コムギ属、ハイナルディア属、エギロプス属の各種との属間やカモジグサ種間組合せの支配を行い、胚培養法などで10数本のF_1雑種を得た。 2.カモジグサの1系統の有明と二条オオムギとのF_1(2n=4x=28)およびミズタカモジグサとのF_1の両者では、生育後期に茎葉に条斑を生じ遺伝的不安定性を示した。前者について根端の体細胞染色体数と成熟分裂MI期の染色体対合を調査したが、著しい変異がみられた。根端細胞において両親の染色体数から期待される2n=28よりも多い2n=約54や数本の染色体について変異する細胞がみられた。MI期には28本の1価染色体を示す細胞のほか、染色体の消失や重複が生じたと考えられる多数の2価染色体をもつ細胞や高次の多価染色体の出現もみられ、染色体不安定性を示した。 3.一方、コムギやハイナルディアとのF_1では比較的安定または安定している。しかし、普通系コムギとアオカモジグサ間に得ている複倍数体やそのコムギへの戻交雑子孫に多価染色体が出現し、両親間の異種ゲノム染色体間の転座の可能性を含め今後の解明が必要である。 4.1989年度の新交配のため、エゾムギ属のテンキグサの株を自生地の鳥取県、宮城県および福島県において採集し、岡山の圃場へ移植した。コムギ族の各種と交配計画である。またオオムギの同質4倍体系統やコムギの異数性系統各種のほか、端部動原体染色体からなるBゲノムをもつコムギ(14^<11>+14t^<11>)を栽培中でありカモジグサなどと交配しF_1を得る計画である。
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