1988 Fiscal Year Annual Research Report
超多収水稲の物質生産特性の解明および新しい超多収水稲の開発に関する研究
Project/Area Number |
63560014
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田中 典幸 佐賀大学, 農学部, 教授 (20039316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 進 佐賀大学, 農学部, 助手 (90140954)
窪田 文武 九州大学, 農学部, 助教授 (50136602)
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Keywords | 日印交雑稲 / 超多収稲 / 発根ポテンシャル / Root trap法 / 根系 / 根群機能 |
Research Abstract |
多収品種として知られる2、3の日印交雑稲品種と数種の日本稲品種を供試して、栽培条件に伴う生産生態の変化を検討した。地上部に関しては、64年度計画調査に示したようにほぼ満足な結果を得た。ここでは、根系の形成という観点から多収水稲の生育特性について述べる。1.Root trap法によって発根量の時期的推移を調査し、冠根及び分枝根発生(発根)ポテンシャルについて解析した。その結果、発根ポテンシャルは、いずれの品種においても生育期間を通じて保持され、最高分げつ期に最大となり、出穂直後に最低となった。出穂直後の発根ポテンシャルの低下は、同化産物に対する穂のシンクの強度が根系のシンクより強くなったためである。日印交雑稲の発根ポテンシャルは、穂孕期まで高かったが、登熟期になると逆転して低くなった。この原因は、日印交雑稲の穂の貯蔵シンク強度が日本稲よりも強いことによるものと考えられた。2.根の生理活性を知る目的で、冠根の呼吸量の時期的変化を測定した。根の呼吸量は生育の進行にともなって低下し、出穂ののち25日前後で最低となった。日印交雑稲品種の根の呼吸量は、日本稲に比べてやや低く推移した。とりわけ、最高分げつ期から幼穂形成期にかけて顕著な差が認められた。すなわち、日印交雑稲は最高分げつ期から幼穂形成期にかけて多量の新根を発生させるが、同時期の根の活性は日本稲よりも低いものと考えられた。3.登熟期における根系の機能を比較するために、当研究室で開発したRoot trapr法を用いて出穂期に根の伸長領域を拡大して根の分枝・伸長を促し、地上部諸形質に及ぼす影響を調査した。根域拡大処理は根群機能を活性化し、同化能力を高く維持することにつながり、地上部乾物重をも増加させた。根群再活性の効果は、日印交雑稲品種よりも、日本稲品種で顕著に認められた。よって、登熟期における日印交雑稲の根系機能は日本稲よりも劣るのではないかと考えられた。
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