1988 Fiscal Year Annual Research Report
果菜類における窒素化合物の体内挙動に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63560024
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
橘 昌司 三重大学, 生物資源学部(農学部), 助教授 (70024560)
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Keywords | キュウリ / 硝酸還元 / 硝酸還元酵素 / 根 / 日変化 |
Research Abstract |
キュウリの葉および根の硝酸還元酵素活性(NRA)の諸特性を種々の面から比較した。 セファデックスGー25で精製したNRAは、葉で11.21、根で0.55(NO_2^-μM/g fw h)、Km値は葉で0.25、根で0.20(mM)であった。植物体各部位のin vivoーNO_3 NRAの分布を4葉齢のキュウリで調べたところ、17%が根に分布し、83%が地上部に分布した。地上部器官のうちでは、活動中心葉である第3葉に最も多く分布し、第1、4葉には著しく少なかった。生体重当たりの比活性は茎や葉柄で高く、葉と根は比較的低かった。また、根では先端部ほど比活性が高かった。 葉と根のin vivo(±NO_3)およびin vitro NRAの日変化を調べたところ、葉ではいずれも正午〜午後3時に最低になり、午後6〜9時に最大になった。in vivoーNO_3 NRAは日中ほとんどゼロに低下した。一方、根のNRAには日変化はみられなかった。硝酸イオン濃度は葉ではNRAとほぼ平行して日変化したが、根では一定の傾向を示さなかった。 一日の種々の時刻に^<15>NーNO_3を含む培地に分離根を1時間浸漬し、出液水と根組織の硝酸態窒素、還元態窒素の^<15>N存在率を調べた。硝酸イオン吸収速度は明期の初めには低く、その後増大して明期の終りに最大となり、暗期に入って低下した。出液速度の日変化は硝酸吸収のそれに類似した。出液中の^<15>Nー全窒素に対する^<15>Nー還元態窒素の比率は明期の初めでは20%程度であったが、その後は10%前後で推移した。暗期では時刻によらず20%前後であった。一方、根組織中の^<15>Nー全窒素に占める^<15>Nー還元態窒素の比率は明期の初めを除いてほぼ20%であった。 以上の実験結果から、キュウリでは吸収された硝酸態窒素の大部分は根を素通りして地上部に転流し、主として葉で還元同化されること。根における硝酸還元率は大きな日変化をしないことなどが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)