1990 Fiscal Year Annual Research Report
果菜類における窒素化合物の体内挙動に関する基礎的研究
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63560024
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
橘 昌司 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024560)
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Keywords | キュウリ / 果実 / 根 / 硝酸還元酵素 / 硝酸同化 / 転流 |
Research Abstract |
1.葉のin vivo硝酸還元酵素活性が正午過ぎに最低になる理由 前年度までの研究で、キュウリの葉のin vitro硝酸還元酵素活性が正午頃に最大になるのに対して,in vivo活性は正午から午後3時にかけて最低になるという違いがみられた。葉の実際の硝酸還元は、重窒素を用いた実験の結果やアミノ酸濃度の日変化からみて日中に盛んであると思われた。in vivo活性が日中に低下する現象は日射量の少ない冬季にのみみられる現象で、その原因には冬季には葉のNADH濃度が日中に少ないことが関係していると推定された。 2.キュウリの葉から根への窒素の再転流の昼夜による違い 葉から根への窒素の再転流に昼夜の周期性があるかどうかを重窒素を用いて根分け法で調べた。その結果,再伝流量は明期と暗期で違いがなく,窒素供給側の根が吸収した硝酸態窒素の5%程度が12時間の明期または暗期に受容側の根に再転流した。再転流する窒素の大部分は還元態であったが,硝酸態窒素の形での再転流も僅かにみられた。 3.キュウリ果実の硝酸還元酵素活性と葉から果実への窒素の転流 キュウリ果実の硝酸還元酵素活性はトマトやピ-マンに比べるとかなり高く,特に果皮部の活性が高かった。しかし,先端部,中央部,基部の間には活性の違いはなかった。また、果実の硝酸還元酵素も葉や根のそれと同様に、還元剤として主にNADHを用い、NADPHはほとんど利用しなかった。更に、果柄の冷却やグルタミン合成酵素阻害剤の葉面散布によって、根が吸収した重窒素の果実への流入量が無処理区の60〜70%に減少した。以上の実験結果から、キュウリでは果実の生長に必要な還元態窒素の多くは、根から転流してきた硝酸態窒素を果実自らが主として果皮で還元同化して得ているが,少なくとも30〜40%は葉で同化された還元態窒素に依存していることが明らかになった。
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[Publications] Tachibana,S.,Konishi,N.: "Diurnal variations of in vivo and in vitro nitrate reductase activety in cucumber plants" 園芸学会雑誌.
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[Publications] Tachibana S.,Konishi N.,and Kanda H.: "Absorption,translocation and assimilation of ^<15>Nーnitrate by cucumber(Cueumis Sativus L.)plants in the light and in the dark." Scientia Horticulturae.